[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 3節 8話 幼馴染の女神 – ファイナルステージ (優美華の視点)


前書き

青年男性向け – ソフト – R18

第3節 幼馴染 (第1章 勇者の村)

第 8 / 19 話

約 11,600 字 – 18 場面 (各平均 約 640 字)


1/18.「頼みましたよ」

裕太達は謎解き脱出ゲームのミステリーハウス、一文無しの状態から実際に生活を始め一定期間内にどれだけお金を稼げるか競う人生ごっこ、実際に武器を手に取り戦争するウォーゲーム、実際に異世界に召喚され先に魔王を討伐した者達が勝利する勇者ごっこなどを行い――。

「裕太さん、優美華さん、ユリアさん、テオさん、頼みましたよ」

――最後まで生き残り魔王を討伐した裕太達の後方支援に徹していたサイモングループのリーダー サイモンとそのメンバー達が裕太達に夢を託すと光となって消えていき――。

「みんな……!」

――ユリアも――。

「ウッ……皆裕太氏に託したんですよ……」

――テオも――。

みんな……。

――優美華も声が出ないながらも泣いた。

「分かっているよ。この中の誰かが必ず優勝して神になってみんなの夢を叶えよう」

もちろん裕太も悲しかったがそれは覚悟していた事であり最終的に夢が叶えば報われるだろうと思っていた。

「そうだね……!」

「そうですよ……!」

うん……!

――みんな手の届くところに有るハッピーエンドを目指していた。

「これで4人同時優勝かな?」

そしてユリアは楽観視し――。

「いや、そんなに優しいゲームではないですよこれきっと」

――テオは悲観視していた。

「そうだよね……」

ユリアはテオの言った事がもっともだったと思った。


2/18.「『』おめでとう!☆」

そして裕太達は装備やステータスなどを没収された状態でテレポートされ――。

「やぁ君達!☆勇者ゲーム優勝おめでとう!☆」

――目の前にクロノスが現れた。

「アンタ……!」

ユリアはクロノスに憤りを感じていたが裕太達に迷惑を掛けない為それ以上の事は言わなかった。

「神……!」

テオは突然目の前に理不尽な存在である神クロノスが現れた為驚いてしまった。

モ「裕太君……!」

優美華は恐怖し強く手を握った。

モ「大丈夫だよ」

裕太は優美華にモールスで返事をして――。

「ありがとうございます」

――クロノスに素直に感謝を述べた。

「おや、裕太君だけは全くボクに恐怖を感じていない様だね☆」

クロノスは裕太が神である自分を前にしても全く恐怖を感じていない事に気付き驚いた。

「どちらの方が良いんですか?」

裕太はクロノスにとってどちらが好ましいか訊いた。

「まぁボクからしたら君達はこのデスゲームでここまで勝ち抜いてきたんだから堂々としててほしいかな☆」

クロノスは強者は強者らしくしていてほしかった。


3/18.「『』に何の用ですか?」

「そうですか。それで僕達に何の用ですか?」

裕太はクロノスが自分達に会いに来た要件が訊きたかった。

「生存者がもう4人しかいないのにボクが登場するのをもったいぶってるのは、ね~?☆」

クロノスはそろそろ自分が登場すべきだと思って出てきたのだった。

「そうですか。それで次のゲームは何ですか?」

裕太はクロノスがファイナルゲームを司会する為に出てきたのだと思っていたし――。

「さすが裕太君☆話が早くて助かるよ☆――ファイナルステージ!☆優勝者決定せ~ん!☆4人を2人にしよ~う!☆」

――クロノスもそのつもりで残酷な最終戦の宣言をしながら1丁のリボルバーと弾薬ケースが置かれた丸テーブルを床から登場させた。

「やっぱりみんなで同時優勝なんてさせてもらえそうにないわね……」

「そうですね……酷過ぎますよ……」

モ「どうしよう裕太君……!」

ユリアもテオも優美華もみんなで同時優勝という淡(あわ)い希望が無くなりこれから大事な仲間達と殺し合いをさせられるのかと理不尽に打ちひしがれた。


4/18.「『』だよ」

モ「考えが有るから大丈夫だよ」

裕太はこうなる事は最も起こり得る未来として想定していたし覚悟は出来ていた。

「ちなみに制限時間はボクの気の済む範囲内ね!☆もちろんグダったりボクがガッカリしたら全員殺しちゃうかも?☆」

クロノスはファイナルゲームの制限時間は決めてはいないものの感覚でジャッジするつもりでいた。

すると――。

「ねぇ、これもう始まってるの?」

――ユリアはクロノスにもうゲームが始まっているのか訊いた。

「も~☆せっかちだな~☆そんなに始めたいのか~い?☆まぁ今は説明タイムだからね~☆さて質問は有る?」

クロノスはこのステージはファイナルステージというのも有りゲームのルールはちゃんとプレイヤー達に共有させたかった。

「私は有りません」

「私も無い」

「僕も有りません」

私も無い。

優美華は頷く事で裕太達と同じ意見である事を示した。

「そ!☆じゃあ、開始の合図をしたらゲームスタートだからね~!☆あと僕の事は気にしないでね~!☆――」

クロノスがそう言うと裕太達は息を呑み――。

「ファイナルステージ!☆優勝者決定せ~ん!☆4人を2人にしよ~う!☆ゲームスタート……!☆」

――非情なゲームの開幕が告げると――。


4/18.「『』氏……!」

真っ先にユリアがリボルバーのもとへと走り――。

「ユ、ユリア氏……!」

あ……!

――テオと優美華が驚いている内にユリアはリボルバーを手に取り手慣れた手つきで装弾状況を確認した。

「裕太氏……!」

モ「ゆ、裕太……!ユリアが……!」

テオと優美華は裕太に判断を求めたが――。

「大丈夫だよ。落ち着いて」

――裏切者が出る事も想定済みでありそれを見越しての「4人を2人にしよ~う!☆」という事も分かっていた。

「裕太だけは撃たないからこっち来て……!」

ユリアは裕太達にリボルバーを向けながら裕太に来る様に言った。

「何をしているんですかユリア氏……!共にここまで勝ち抜いてきた仲間でしょう……!」

テオはユリアのしようとしている事が理解出来なかった。

「私は……!絶対に優勝しなくちゃいけないの……!だって私以外が優勝してもきっと私の女神様が私を回収しに来るから……!」

ユリアは自分が優勝しなければいけないと考えていた。

「女神様……?」

テオはユリアの言っている事に驚いた。

「黙ってたけど私は神と会った事が有るの。私の神は女神だったけど私はその女神様の手足になって色んな任務をさせられてた。もちろんお茶会にもよく呼ばれてたし神々の世界の話も多少知ってる。それでもし私以外の誰かが優勝して私の願いを叶え様としてくれても絶対私の女神が私の事を回収しに来るから私が神になって自立しないと私だけみんなと離れ離れになっちゃうの……!」

ユリアの願いは裕太と結ばれこの4人で共に幸せになる事だったのだが自分の女神の事などをよく知っているユリアだけは自分の女神の邪魔が入りそれが叶わない事が分かっておりそれゆえユリア自身が優勝する他(ほか)無いと追い詰められていた。


5/18.「『』を殺すのかな?☆」

「良いね良いね!☆じゃあユリアちゃんはテオ君と優美華ちゃんを殺すのかな?☆」

クロノスはドロドロのヒューマンドラマを楽しんでいる。

「アンタにだけは名前で呼ばれたくない……!」

ユリアは頭に血が上っているとはいえ譲れないものが有りクロノスに物凄い剣幕で言い放った。

「おー!☆怖い怖い!☆」

クロノスはユリアをおっかないと思った。

「ユリア氏!僕だって神と会った事は有る!神々の価値観も知ってる!裕太氏が優勝して神になってユリア氏を買い取ってもらったら良いんです!」

テオも自分の神との面識は有り価値観も知っていて資産価値の有る勇者であるユリアを神になった裕太がユリアの女神から買い取ったら良いと考えた。

「それじゃ駄目なの……!私の女神様は買う事は有っても売る事は無いの……!スポーツで常勝軍団のチームがシーズン途中でポストシーズンを諦めて優秀な選手を売りに出したりしないでしょ……?」

*「ユリア・グレーナー、貴方は最高の勇者よ。そして私の一番のお気に入り。決して私を裏切ろうなどとは思わない様にね」*

*「ミラノヴァ様の仰(おお)せのままに」*

ユリアの女神は常に買い手であり手に入れたユリアを手放すとはとても思えずそれはユリア自身が一番よく分かっていてスポーツでも例えてみんなに理解してもらおうとした。


6/18.「『』に来て……!」

「だから裕太こっちに来て……!一緒に同時優勝に賭けよう……!」

ユリアは必死に裕太に優美華とテオを捨てる様に訴えた。

「そ、そんな殺生(せっしょう)な……!」

テオは死ぬ覚悟は出来ていたとはいえ何らの打開策も思い浮かばず仲間に切り捨てられるのはさすがに理不尽過ぎて身に応えた。

モ「裕太君……私の事は見捨てて大丈夫だよ……?」

優美華は自分の存在が裕太の足枷になりたくなかった。

モ「いや、絶対に見捨てないから安心して」

裕太は優美華に話し掛けた時から守り切ると決意していたし今もその心は変わらず――。

「ユリアやテオ、僕達の為に身を犠牲にしてくれた仲間達、その他プレイヤー全員の夢をなるべく叶えて必要なら買い取ってその神の手から離れられる様にする、ではいけないのかい?」

裕太はユリアが自ら手を汚してまで神になる必要はないのではないかと訴えた。

「そ、そうですよユリア氏……!」

テオは同感で――。

モ「うんうん……!」

――ユリアも2回頷いて同感を示した。


7/18.「少しのリスクも犯したくないの……!」

そしてユリアはしばらく考えたものの――。

「……でも駄目……!みんなはミラノヴァ様の事が分かってない……!私が神にならなきゃ私は一生みんなと離れ離れになっちゃう……!私は自分の未来の為に少しのリスクも犯したくないの……!」

――裕太の提案では100%で自分の目的が達成されるとは思えず決意は変わらなかった。

「誰が優勝したにせよお前達をここまで導いた俺が助力して絶対にお前達の願いを叶える。俺を信じてくれないか?」

裕太は漢気(おとこぎ)を出しこれまでの実績を根拠として信じる様に訴えた。

「信じたい……!信じたいけど……!」

ユリアは裕太を信じたかったがユリアも最優秀格の勇者として少しでもリスクは避けたかった。

「ユリア氏!僕達ここまで来られたのは裕太氏のおかげですよ……!裕太氏がいなければ僕達は最初のステージで死んでたんです……!お忘れですか……!」

テオは裕太を信じており裕太なら奇跡を起こしてくれると思っていて畳み掛けた。


8/18.「で、でも……!」

「で、でも……!」

しかしユリアはそれでも信じ切れなかった。

(裕太氏が困っている……!裕太氏は絶対に優美華さんを切り捨てられないんだ……!だったら代わりに僕が何とかしなくちゃいけない……!今こそ裕太氏に恩を返す時だと思わないか……!テオ・オベルティ……!)

そして覚悟を決めたテオは――。

「ウワァー……!」

――打たれる覚悟でユリアに襲い掛かり足払いでユリアが後頭部を打たない様にしてから優しく転倒させた。

「や、やめてテオ……!」

ユリアは結局テオを撃てず転倒させられてしまい抵抗した。

「銃を捨ててください……!」

テオは必死にユリアから銃を奪おうとしたが――。

「あ……!」

――ユリアはつい抵抗しようとし引き金を引いてテオを撃ってしまった。

「優美華。見ちゃいけない。僕と手を繋ぎながらもう片方の手と腕で目を覆って」

裕太は銃声がした瞬間優美華の目を隠し自分の手でも隠す様に指示した。

モ「うん……」

優美華は自分の片手でも目を覆った。

「ナイスショット!☆あと1人!☆」

クロノスはテオの絶命を確認した。


9/18.「『』は悪くない……!」

「私は悪くない……!テオが襲ってきたから……!――」

ユリアは必死に自分の責任ではないと言い聞かせ――。

「――優美華ちゃんは良いね……!いっつもいっつも裕太に守ってもらって……!裕太を独占して……!」

――テオを手に掛けた事で吹っ切れハードルが下がったのも有りこの様な状況でも裕太に守られている優美華に怒りと殺意を覚えてきながらテオを退(ど)けて起立した。

「ユリア、これは俺がここに来た時に俺が優美華にした約束なんだ。『ところでもし君が良ければ僕が君の事を守ってあげるから僕を君の側にいさせてくれないかい?』ってな。俺が俺である為の大事な根幹なんだ」

裕太は弱者を救う事と当初の約束を守る事は自分が自分である為に決して曲げられない信念だった。

「ねぇ?あたしはね、今こんなに見た目若いけど前世30代だよ?優美華なんて今そんなにか弱い少女演じてるけど本当はもっとババァだったかもしれないんだよ……?」

ユリアは裕太の心を優美華から離す為に優美華のイメージを必死に下げようとしている。

「だとしてもだ。それにユリアだって当初俺を優美華を洗脳しようとしている悪い奴だと思って優美華を助けようとしていただろう?」

俺は当初のユリアの言動を切り出した。

「あ……あれはゴメンだけど……」

ユリアは過去を掘り返されて戸惑いつつも謝罪した。

「ユリアは優美華を助けようとした。それはユリアに弱者救済と正義の信念が有るからだろう。それは俺も同じだという事だ」

裕太はユリアにも同じ信念が宿っていると思っている。

「で、でも……じゃ、じゃあ……優美華……!アンタが死なないなら私が裕太を撃っちゃうよ……?良いの……?それで。嫌だったら前に出てきて。私が撃ち殺してあげるから」

ユリアは裕太への説得を諦め優美華への説得に切り替え裕太に銃口を向けた。


10/18.「『』行くね……」

私は……。

モ「裕太君……私行くね……」

優美華は自分が犠牲になろうと思っていた。

「いや、優美華は行かなくていい。――」

裕太は優美華の手をしっかりと掴み――。

「――なぁユリア、仮に今お前が優美華か俺を撃ち殺したとしてもクロノスが2人同時優勝を認めると思うか?」

裕太はユリアにそもそも論を説いた。

「そんなのやってみないと分かんないじゃない……!どうなのクロノス……!」

ユリアは2人同時優勝の可能性に賭けているしそうなり得るのかクロノスに問いただした。

「僕は『4人を2人にしよ~う!☆』って言ったよね?☆」

クロノスは事実を言った。

「な?テオの時みたいに『ナイスショット!☆あと1人!☆』って言うに決まってる」

裕太はクロノスの本質を見抜いていた。

「でもそんなのまだ分かんないじゃん……!」

ユリアは小さな望みに賭けるしか無かった。

「なら代わりに俺を撃ってそれでも優勝者が決まらなかったら自分を撃って優美華に全てを託してほしい」

裕太には優美華を絶対に生かしてここから出すという強い覚悟が有った。

「そんな……!で優美華はどうするの……?裕太が撃たれても良いの……?自分を犠牲にしたくはないの……?」

ユリアは優美華の気持ちも聞きたかった。

モ「ユリアに伝えて。『私を撃ってゲームが終わらなかったらユリア自身を撃って』って」

優美華も同じく裕太の優勝以外は考えていなかった。

モ「分かったよ」


11/18.「『』って言ってるぞ」

裕太は優美華にモールスで返事をし――。

モ「『私を撃ってゲームが終わらなかったらユリア自身を撃って』って言ってるぞ」

――優美華の言った事をユリアに伝えた。

「そっか……テオは私の事撃とうとしてた……だから撃った……で私は自分が優勝する為に優美華も殺そうとしてる……でも裕太と優美華は相手の優勝の為に自分を犠牲にしようとしてる……私完敗だ……優勝したら絶対に私の夢を叶えてね……?」

ユリアは裕太と優美華の絆や自らを犠牲に立ち向かおうとしたテオを目の当たりにして人としても絆としても敗北を実感させられた。

モ「うん……!」

優美華は頷き――。

「ああ、俺もそのつもりだ。それに優美華も『うん』って言ってるぞ」

――裕太も同意し優美華がモールスで言っている事をユリアに伝えた。

「うん、分かった。じゃあまたすぐに会おうね……!大好きだよ裕太……!」

「うん!☆ユリアちゃんも死んでるね!☆」

クロノスはユリアの絶命を確認し理想通りに進んでいて嬉しかった。

「で、どうなるんだ?」

裕太はクロノスにゲーム終了かを訊いた。


12/18.「ナイスショット!☆」

「ナイスショット!☆あと1人!☆」

しかしクロノスは裕太が想定していた通り同時優勝など認めるつもりは無く最後の1人になるまで殺し合いを続けるつもりだった。

え……。

優美華は裕太と殺し合いになるという恐れていた事態に直面し絶望した。

「そうくると思っていたよ」

裕太はクロノスならそう言うと分かっていたし少し期待していたのをバカバカしく感じていた。

「ニヒッ!☆――」

クロノスはニヤリと笑い――。

「――ところで2人にとっては最後の瞬間だろうし銃声がするまでボクは別の部屋で待機していても良いよ?」

――下世話(げせわ)な事を提案した。

「いや、別にいい」

裕太はそんな事をするつもりは無かった。

……。

一方で優美華はしても良いと思っていたのに裕太が断ってしまった為残念に思った。

「そ!☆」

クロノスは裕太に遠慮されてしまって残念だった。


13/18.「『』に託すからね」

「優美華、僕は僕も含めて全員の夢や願いを優美華に託すからね」

裕太は優美華に託したかった。

モ「い、嫌……!私を撃って……!」

優美華は裕太に死んでほしくなかった。

「銃声がしても絶対に目を開けて見ちゃ駄目だからね」

裕太は優美華にこの光景を見せたくなかった。

モ「い、嫌……!」

優美華は裕太達が死んでいるところを見たくなかったし裕太を失いたくなかった。

「後ろを向いていると良いよ」

裕太は優美華から手を離し銃を取りに行った。

ア……アア……。

優美華は裕太の手が離れると途端に恐怖を覚え必死に手で探り寄せようとした。

「ボクは裕太君に優勝してほしいんだけどな~!☆」

クロノスは裕太こそ勝者に相応しいと思っていた。

「お前の思い通りにならなくて悪かったな」

裕太は優美華を殺してまで自分が優勝するつもりは無かった。

「あんな喋れない子殺したら良いのに☆」

クロノスは優美華ほど喋れず物理的にもあまり抵抗してこなさそうな絶好の殺しやすい子はそうそういないと思っていた。


14/18.「『』になるんだよな?」

「俺が死んだら優美華は無事に神になるんだよな?」

裕太はクロノスに約束を守るのか訊いた。

「もちろんだとも!☆ボクが優美華ちゃんに絶対に危害を加えないと今君に約束するよ!☆」

クロノスはゲームマスターとしても約束は絶対に守るつもりだった。

モ「裕太……!」

優美華は裕太を裕太の声がする方へ必死に探して回りついに手を繋ぐとモールスで話し掛けた。

「優美華、後ろを向いて」

裕太は優美華が銃声の拍子に目を開けかねないと思い後ろを振り向いてほしかった。

モ「嫌だ……!」

優美華は後ろを振り向いたら裕太がいよいよ死んでしまうと思い裕太の言う事が聞けなかった。

「後ろを振り向かないと優美華が僕に会いに来ても応対しないよ?」

裕太は優美華を優勝させる為にも手段を選んではいられなかった。

モ「分かった……」

優美華は裕太に嫌われたくない為素直に従った。

「絶対に振り向いちゃ駄目だよ……?」

裕太は優美華に念を押した。

モ「うん……」


15/18. モ「『』ありがとう」

優美華は裕太の死んでいるところなんて絶対に見たくなかった。

モ「今までありがとう」

裕太は優美華に感謝した。

モ「だ、駄目……!」

優美華は裕太に引き金を引いてほしくなかった。

「じゃあまたね。大好きだよ優美華」

裕太はそう言うと――。

「駄目ー!」

――優美華の反論も空しく引き金を引いた。

「ナイスショット!☆ゲーム終了~!☆――優美華ちゃん最後に失語症が治って良かったね☆」

クロノスはゲーム終了を宣言しゲス顔で優美華の治癒を祝福した。

モ「起きて裕太君……!私を撃って裕太君……!」

優美華は号泣しながら裕太に必死にモールスを送るが返事は全くこないのだった。

「裕太君が優勝してたらな~!☆一緒にゲームマスターやりたかったのに☆」

クロノスは優美華が優勝してガッカリしていた。

モ「裕太君……!裕太君……!」

しかし優美華は相変わらず裕太にモールスを続けていた。

「もう手を離しなよ!裕太君もう死んでるんだよ?」

クロノスはか弱く健気(けなげ)な優美華の姿に怒りを覚えてきた。

「嫌です……!」

優美華は泣き崩れながらも裕太の手を握ったまま諦めきれないでいた。

「あっそっ!べ~、だ!いつまでもそこで泣いてたらいいじゃん……!――じゃ、ボクは裕太君の死体といい事するから絶対に見ちゃダメだからね……!♡」

クロノスは優美華にあっかんべ~しそう言った。

あまりに惨(むご)い……。

かくして裕太は優美華を神にする為自死し優美華はその場で泣き崩れクロノスは全裸になると裕太の死体で行為し始めたのだった。


16/18.「ご馳走様でした!♡」

そしてクロノスは行為を終え――。

「ふぅ、ご馳走様でした!♡――あ、君もやってく?」

――優美華にも貸してあげようとした。

「ヒドいです……」

優美華は裕太を失ったばかりでありその骸(むくろ)に対してクロノスがした様な事をするなどとても出来る事ではなかった。

「あっそ……!」

クロノスは裕太に服を着せてから自分も服を着て――。

「じゃ、裕太君との約束通り君の事を神にしてっと……」

――優美華に手をかざしこの星の権限を与え――。

「じゃ、君の事は神にしてあげたからこの星とその天使達もお好きな様にね~!☆――」

――優美華にこの星と天使も優美華の指揮下に入った事を伝えたが――。

「――でも裕太君の体はボクが持って行くからね~!☆」

――優美華に裕太の骸を渡すつもりは無かった――。

「返してください……!」

優美華は自分が神になった事などどうでも良かったが裕太の体だけは返してほしかったが――。

「後はセーナ君に任せるよ」

――クロノスは優美華に裕太の体を返すつもりは無くセーナに優美華の事を任せた。

「承知しております」

セーナは優美華が神になった事を認めて優美華が新たな主(あるじ)となった。

「じゃ僕はもう行くね!☆」

「待ってください……!」

クロノスは優美華の制止も空しく裕太の体と共にテレポートしていき――。

どうしてこんな酷い事に……。

――優美華はただひたすら泣く事しか出来なかった。


17/18.「『』が完了しました」

そして少しすると――。

「片付けが完了しました。もう目を開けて大丈夫です」

――セーナは優美華に目を開けても大丈夫だと告げた。

「はい……」

優美華は恐る恐る目を開けるとそこにはセーナがいた。

「優美華様、ご傷心のところ恐れ入りますが神化おめでとうございます。これより優美華様はこの星とその天使達の主(あるじ)にございます」

セーナは優美華に話し掛けた。

「はい……」

優美華は一応返事をした。

「私はセーナ・ブレイワイズ。天使長を務めております。宜しくお願い申し上げます」

セーナは優美華に自己紹介した。

「よろしくお願いします……」

優美華は全く前向きにならないながらも返事だけはしておいた。

「これより優美華様には星の管理と天使の指揮。そして神々についてや魔法学などを私が教鞭を執り学んでいただきますがその他(た)何なりとお申し付けください。あと敬語は結構です」

セーナは優美華に早速神としての自覚を持ってもらい学習もしてほしいし要望が有れば何なりと命じてほしかった。

「はい……じゃあ何を言っても良いのなら……裕太君を蘇らせて……」

優美華はセーナが何でもしてくれるのならと裕太を蘇らせる様に言った。

「裕太殿の魂は現在優美華様の管轄内には無い為蘇らせる事は出来ません」

蘇らせるには魂が必要であるが現在その魂はこの星にも空間収納にも存在しない為セーナとしてはどうする事も出来なかった。

「じゃあみんなの魂は……?」

優美華はテオやサイモン達の魂はどうなのかも気になり訊いた。

「裕太殿と同様に現在この星には存在しません。と言いますのもクロノス殿の指示でゲーム終了時に一斉に返還したからです」

テオ達の魂はゲーム終了時にちゃんと元の持ち主の元へと返還されていたのだった。


18/18.「『』も返還されたって事……?」

「じゃあ裕太君の魂も返還されたって事……?」

優美華は裕太の魂の行方が気になった。

「分かりません。確認したところ返還先は『不明』となっています」

セーナは魔力モニターでポチポチと返還先一覧の裕太の欄へとアクセスし返還先を再度確認した。

「どうしたら裕太君に会える……?」

優美華としては先ず裕太に会ってからテオやサイモン達の願いを叶えていきたかった。

「裕太殿の所在については私共で調査してまいります。ですから優美華様には先ずは神学や世界学を学んでいただき神々の世界の事を知っていただきつつ、いつどの様な事が起こるか分かりませんので魔法学や武器を使った戦い方などを学んでいただき神としての戦闘力を備えていただきたいのです。そうすれば神々の世界で裕太殿の所在を掴めるかと存じます」

セーナとしては先ずは優美華が一人前(いちにんまえ)の神にならなければ始まらないと思っていた。

「分かりました……裕太君やみんなの所在を調べつつ私に勉強や戦い方を教えてください……」

優美華は勉強には自信が有った為裕太達に再会すべくちゃんとした女神になる覚悟を決めた。

「それでは参りましょうか」

セーナは優美華に手を差し伸べた。

「はい……」

優美華はセーナの手を取りその場を後にした。

かくして優美華は裕太を失うも再び裕太に会える日を夢見て今自分に出来る事から着手していくのだった。


後書き

クロノスはそれはそれはもう楽しみました(笑)

その内容はクロノス視点のエピソードで書きます。