[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 3節 6話 幼馴染の女神 – 最強パーティー (優美華の視点)


前書き

青年男性向け – ソフト – R18

第3節 幼馴染 (第1章 勇者の村)

第 6 / 19 話

約 10,500 字 – 16 場面 (各平均 約 650 字)


1/16.「みんな聞いてくれ!」

デスゲームが始まったもののすぐに攻略が始まった訳では無かった。

「みんな聞いてくれ!私は皆と同じ様にこのデスゲームに参加させられた被害者の1人だ!生きてここから出たいと思っている!そこで私が思うにこのゲームは必ずしも1人で挑む必要は無い!多人数で協力してはいけないと神は言っていないんだ!だから私は皆と力を合わせて助け合ってこの難局を乗り越えたいと思っている!どうだろうか!」

早速プレイヤー達をまとめようとする者が現れ――。

「私は賛成かな」

(どうせ協力し合ったところで1人しか優勝出来ないだろうけど何もしないよりはマシかな)

「馬鹿じゃねーの……?これはデスゲームだぞ……?いずれ殺し合いになるんだぜ……?」

「助け合いだと……?馬鹿じゃねーのか……?これはデスゲームだぞ……?いずれ殺し合いになるんだぜ……?」

「た、確かにそうだよな……」

「でも私死にたくないから混ぜて……!」

「お、俺も……!」

――それに対して賛否両論が巻き起こったが――。

「僕達は先ず2人で始めてそれから僕達と上手くやっていけそうでグループに加われなかったりグループから追い出された人を保護していく感じでも良いかい?」

――裕太は助け合おうとする人達を陰ながら支える事や助け合う事については賛成であるもののそのグループ行動で見捨てられた人達の中から助けられる人を保護していきたいと考えておりしかし自分1人で決める訳にもいかない為その事について優美華に訊いてみたのだが――。

うん。裕太さんがしたい様に。

――優美華も同感でコクリと頷き2人はそうしていく事になった。


2/16.「お前は何が得意なんだ?」

そしてそうこうしている内にあちこちで――。

「俺は数学が得意なんだがお前は何が得意なんだ?」

「俺は勉強はからっきしだが水泳と陸上で世界記録を持ってる。力仕事なら任せてほしい」

「現役で捜査官やってます。なぜか30歳近く若返っていますが私で良ければこのグループに加わらせてください」

「私はアーチェリーの選手です」

「あたしはただのバイトだけどバイトの後はハッカーやってる」

――得意不得意の意見交換が始まり――。

「私はこう見えても外交育ちの外交官で大統領の政治家なのですが、お2人はどの様な組み合わせで?」

――当然ながら裕太達の情報も訊かれ――。

「私は多国籍企業の経営者でこの子は知り合ったばかりです」

――裕太は優美華のウィークポイントを伏せながらそう答えると――。

「そ、そうですか……てっきり兄妹かカップルかと思ったのですが……頑張ってください……」

――戦闘力や実利の有るスキルを求めていたのだろう大統領は憐れむ様な目でその場を後にしたのだった。

そして裕太はすかさず――。

「大丈夫だよ、優美華さん。僕達は決して役立たずなんかじゃない。ここにはおそらく世界中から優秀な人達が集められてる。ある人は文化人。またある人はスポーツ選手。またある人は学者。つまりみんな何かしらの得意分野が有る。って事は優美華さんにだって神クロノスに選ばれただけの理由、つまり得意分野が有るはずだと僕は信じてるから」

――優美華にフォローをし――。

うん。ありがとう。

――優美華はコクリと頷くと握り返した。


3/16.「テメェ、ナニモンだ?」

しかしその一方で――。

「テメェ、ナニモンだ?」

「俺は裏社会のボスだが何か用か?」

「俺もだ。よろしく」

――人相の悪い者達が徒党を組み始め――。

「君達も優秀そうだ。私は今後のゲームに備えて優秀なグループを集めて連合体を組織しているのだが君達も加わらないかい?」

「あ、ああ!」

――優秀な者達も固まり始めた。

そして裕太達にも――。

「そこの君達も僕らのグループに加わらないか?」

――いかにもな聖人君子の勇者が始めた寄合所帯からの勧誘が有り――。

「とりあえず同行するという形でも宜しいですか?」

――裕太は「加入」ではなく「同行」でやり過ごそうとしたが――。

「それで構わない。私の名はサイモン・ギレット。サイモンで良い。得意分野としては剣道だ。よろしく」

――サイモンはそれでも構わなくて承諾し握手をしようと手を差し出し――。


4/16.「私は『』」

「私は大澤 裕太。多国籍企業の経営者です。宜しくお願いします。で、こちらが優美華さん。おそらく失語症です」

――自己紹介し握手に応じこの人になら明かしても良いだろうと思い優美華のウィークポイントを明かし――。

「分かったよ。お嬢さんもよろしく」

――サイモンは優美華にも握手しようとして――。

うん……。

――対人恐怖症の優美華は裕太の手前勇気を出し渋々握手を返した。

「しかし失語症とは……それにしてもお2人はもしかしてお付き合いしていたり?」

そしてサイモンは気になっていた手を繋いでいる裕太達の関係を訊いた。

「いえ、ここで知り合ったばかりです」

裕太は素直に答えた。

「そっか。とりあえず僕としては僕らのグループと離れ離れにならない様に近くにいてほしい」

サイモンは誰一人として取りこぼしたくなかった。

「出来る限りそうさせてもらいますね」

裕太は自分の万が一に備えて優美華を任せられるグループが見つかって良かったと思いながらその厚意に甘える事にした。

「ああ、それじゃ!」

サイモンはそう言うと次なる保護活動へと邁進(まいしん)していった。

その一方でクロノスは飴を舐めながら――。

*「人は『社会的な動物』とはよく言ったものだね~」*

――プレイヤー達がグループを作る様子を楽しそうに見ており――。

――天使アレクサンドラは裕太達が時々目に付きグループに加われた様でホッとしていたのだった。


5/16.「さて僕らも『』をするとしようか」

「さて僕らも情報交換をするとしようか」

裕太もゲームに挑んでいくに当たり優美華の特技を知っておくべきだと思い優美華に耳打ちした。

私喋れないのにどうやって……?

優美華は裕太が何をしようとしているのか分からず不思議そうにしながらもコクリと頷いた。

「基本的に大事な会話は小声で口を読まれない様に耳打ちするね」

うん。

優美華はコクリと頷いた。

「優美華さんが僕に返事をする時も基本的には頷く様にしてくれたら分かりやすいのだけど誰にも知られたくない時はOKなら誰にも見えない様に指でトン1回、NOなら指でトン2回とか」

分かった。

優美華は試しに指トンしてみたのだが――。

「人の目の有る今は僕達の間に優美華さんが頷く以外の意思疎通手段が有る事を知られてしまうのはまずいから今は頷いてくれるかい?」

――裕太としてはそれはまずい事だった。

あ……!

優美華は涙目になりながら慌てて頷いた。

「大丈夫だよ。これからお互いに慣れていこう」

裕太は裕太で説明不足だったかと反省した。

うん。

優美華はコクリと頷いた。


6/16.「ところで『』かい?」

そして裕太は優美華の特技を知るべく――。

「ところで優美華さんは高校生かい?」

――試しに職業から訊いてみた。

うん。

優美華はコクリと頷いた。

「じゃあ得意なのは頭脳系だったりするのかい?」

うん。

優美華はコクリと頷いた。

「その特技は数学や物理学などという科目とは関係有るかい?」

裕太は科目に関わる特技かを訊いた。

ううん。

優美華は首を左右に振った。

(頭脳系で科目とは関係無くこんなにか弱い子でも神に選ばれてこの場に連れてこられる程の特技とは……)

「もしかして記憶力が凄いとかかい?」

裕太は核心を訊いた。

というのも裕太は失語症や対人恐怖症になる程のショックの大きさを考えればその線は疑わずにはいられなかった。

うん。

優美華はコクリと頷いた。

「記憶力以外に得意な事は有るかい?」

裕太は記憶力以外の事も訊いてみたが――。

ううん。

――優美華は首を左右に振った。

「そうなんだね。それでその記憶力はいわゆる『瞬間記憶能力』かい?」

裕太は優美華の能力が完全記憶能力化を訊いたが――。

うん。

――それは正解であり優美華はコクリと頷いた。


7/16.(『』を使うしか無いか……。)

(しかし参った。優美華さんの特技が完全記憶能力だったのは僥倖(ぎょうこう)なのだが会話が出来ない。それ故(ゆえ)優美華さんと意思疎通が出来ないのだ。そんな優美華さんと意思疎通するには……――。)

裕太は完全記憶能力を持つが会話が出来ない優美華と意思疎通する方法を考え――。

(――モールス信号を使うしか無いか……。)

――モールス信号を思い付いた。

(サバイバルの備えでモールス信号を学んでおいて良かったな)

裕太は過去の自分の好奇心に感謝した。

*「モールス信号かぁ!よく思いついたねぇ!さすが天才だ!会話が出来ないハンデが途端に最高の防諜手段に早変わりしちゃうなんて……!☆チュッ♡チュッ♡」*

クロノス視点では裕太の脳内の思考など駄々洩(だだも)れであり策士ぶりに感心し再びモニターにキスした。

「今から指トンで意思疎通する方法を教えたいのだけど良いかい?」

裕太は優美華に耳打ちした。

う、うん……。

優美華は「どうやるんだろう?」と疑問に思いながらもコクリと頷き――。

「これが『あ』だよ」

――裕太は早速1つずつ優美華に実演しながら教えていった。

――かくして優美華は裕太からモールス信号を学んだが――。

「あいつらさっきから何やってんだ……?」

「イチャ付いてんじゃねぇの?」

「洗脳だったりして……あの子ずっと頷いてるし……」

「だったらヤベェな……」

「もう見てられない……!ちょっとあたし行ってくる……!」

――裕太が優美華に耳打ちし優美華が頷いている様子はやはり目立ちどうしても不審がられてしまい――。


8/16.(さっきから何囁いてるのよ!)

「ねぇ!アンタちょっとこの子にさっきから何囁いてるのよ!」

――裕太は正義感の有る女性に声を掛けられてしまったものの――。

「僕とこの子はペアを組んでいるのだけどこの場で唇の動きで会話の内容を掴める人がいるかもしれないからその読唇術対策でこうやって耳打ちしているんだ」

――裕太はその女性に耳打ちし事情を説明したものの――。

「じゃあ何でこの子は頷いてるだけなのよ……!」

――その女性は優美華が頷いてるだけなのがどうしても気掛かりで――。

「ねぇ、グループを探してるなら私達と一緒に来ない?」

――優美華をグループに誘ったものの――。

ううん……嫌……。

優美華は首を横に振った。

「ど、どうして……?」

女性は自分の申し出が断られたのが理解できなかった。

「この件は秘密にしてほしいんだけどこの子は失語症で話せないんだ。それで僕はこの子がOKかどうか首を振ってもらって判断しているんだよ。例えば君の能力は頭脳系?スポーツ系?とかね。総当たりで」

裕太はその女性に続けて事情を説明すると――。

「――って言ってたけど本当?」

――と僕の言っていた事が本当か優美華に耳打ちで確かめようとし――。

うん!


9/16.「そ、そう……」

――優美華はハッキリと頷く事で裕太が本当の事を言っていると示した。

「そ、そう……誤解してしまってごめんなさい……」

女性は誤解だった謝罪した。

「君の様な正義感の有る人がいてくれて心強いよ。優美華さんを心配してくれてありがとう。ところで僕の名前は大澤 裕太。こちらが優美華さん」

裕太はむしろその女性に感謝し自己紹介した。

「そ、そう……私はユリア・グレーナー。よろしく。助けが欲しい時は言ってね」

ユリアは自分が酷い事をしたにも関わらず優しく接し続けてくれている裕太に戸惑いながらも自己紹介した。

「グレーナーさんこそ困った時は言ってくださいね」

裕太はユリアに親切に親切で返した。

「私は結構大きなグループに所属してるから……ま、またね」

ユリアは今のところ困っていなくてむしろ裕太達の事が心配でいながらも誤解が解けた為その場を後にし仲間達のもとに戻ると――。

「で、どうだったんだ?」

――早速どうだったのか訊かれたが――。

「誤解だったよ。全然大丈夫だった」

「なーんだ、心配して損したぜ」

――正直に答えて仲間達の誤解も解けたのだった。


10/16.「皆さん行きましょう……!」

――そしてグループを掌握しグループ間の連絡も完了したサイモンは――。

「このままここにいても私達は飢えるだけです……!皆さん行きましょう……!」

――ついに行動に出ようとし――。

「はい……!」

「行くか……!」

「行きましょう……!」

「こんなに大勢いれば怖くありませんよ……!」

「そうですね……!」

――サイモングループは全員起立していき――。

「僕達も行こうか、優美華さん」

うん。

――優美華はコクリと頷き裕太達も起立し――。

「この扉の先に入るともう元には戻れません、だってよ……」

「そんな事本当に書いてあったんだ……」

「もう行くしかねーよ……!」

――サイモングループは全員大迷宮へと入っていった。

*扉の先はゲートになっており中の様子がどうなっているかは分からず音すらも聞こえてこないという状況の為プレイヤー達は慎重になりグループ編成を急いでいた。*


11/16.「これ全部『』出来るかい?」

そして中に早速入ると正面に大きな地図が有り――。

「優美華、これ全部記憶出来るかい?モールスで答えて」

――裕太は優美華に全て記憶出来るか耳打ちで訊くと――。

モ「うん」

――優美華は出来ると答えた為――。

「ならこれを無理のない範囲内で全て記憶してほしい。もちろんくれぐれも無理をしない様にね」

――裕太は優美華に出来る限りで覚えてほしいとお願いした。

モ「うん。任せて」

――優美華は裕太の役に立てる様で嬉しかった。

そしてサイモンは――。

「君達はここで何をしているんですか?」

――入り口近くにいる先に大迷宮に入った別のグループの者達に質問した。

「見て分からないのか……?地図を記憶しながらここから班に指示を出してんだよ……!」

別のグループのリーダーは余裕が無さそうに返事をした。

「一体何が有ったんですか?」

サイモンはそのリーダーに何が有ったのか訊いた。

「そこらの死体見りゃ分かるだろ……!怪物がウヨウヨいるし罠もそこら中に有るんだよ……!」

そのリーダーは見たら分かる事を訊かないでほしかった。

「教えてくれありがとうございました。私としては人の口から聞きたかったんです。失礼しました」

サイモンは他者の証言により怪物と罠の存在を確信しつつそのリーダー達が少なくとも今は敵ではない事が分かってホッとした。


12/16.「あれは『』……か……?」

そしてサイモングループは――。

「あれは『ゴブリン』……か……?」

「勇者とか魔王とかのゲームなんかで出てくるアレ、か……?」

「あんなのがいるなんて……!」

――怪物と遭遇し困惑しているが――。

*(そりゃ大迷宮なんだからいるに決まってるじゃん……!☆)*

――クロノスからすれば迷宮なのだから当たり前だと思っていた。

「これは倒して武器を手に入れろって事かな。経験値やドロップ品が手に入るかまでは分からないけどね」

裕太は異世界ものの様な迷宮を攻略しろという意味なのだと理解した。

*(そうそう!☆)*

モ「どうする……?」

優美華は不安そうに裕太を見つめた。

「僕が付いているから大丈夫。僕に万が一の時はサイモンのグループに合流してね」

裕太は優美華に遺言を残した。

うん……。

優美華はコクリと頷いた。

そして裕太は武器を持ち襲い掛かってきたゴブリンの一撃を交わすとカウンターで顔面パンチを食らわし一瞬の怯(ひる)みを突き畳み掛けてゴブリンを討伐しボロボロの小剣を手に入れた。

モ「裕太、大丈夫……?」

優美華は裕太の事を心配し無事か訊いた。

モ「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう、優美華」

裕太は心配してくれた優美華に微笑むと感謝した。


13/16.「やっと『』だ……!」

そしてサイモングループは裕太が教えてくれた地図情報を基(もと)に罠を回避し宝箱を開けモンスターを倒しては大迷宮の中を進んでいき――。

*裕太は優美華に完全記憶能力が有る事を伏せる為裕太自身が地図を記憶しているという事にしサイモングループに情報を流しその見返りとしてモンスターとの戦闘を積極的に任せてもらい自ら進んで危険な仕事をするが如く多くのモンスターを討伐している。*

――ついに強力なボスを倒すとゴールと思わしきゲートの前に着き――。

「やっとゴールだ……!」

「私達ここから生きて出られるんだ……!」

――満身創痍の一同が歓喜している中裕太はゴールゲートの側に下の階へ降りる階段を見付けて――。

「ねぇ優美華、僕はこのままあそこの階段から下の階へ降りて迷宮攻略を進めたいのだけどどうかい……?」

――優美華に断られる事も覚悟して下の階へ降りる事を提案した。

モ「裕太が行きたいなら良いよ」

――優美華は裕太のおかげでここまで来れたし裕太がしたい事ならそれが例え危険な事でも裕太のする事なら必ずする意味が有ると思っているし裕太のしたい様にさせてあげたかった。

「アンタ達何してんの……?早く行くわよ……!」

迷宮攻略の途中で元のグループで囮にされユウタに保護されたユリア・グレーナーはゴールを目の前に妙な方向を向いて立ち止まっている裕太達に声を掛けた。

「いや、僕達はあの階段から下に降りようと思っているんだ」

裕太は止められる事を覚悟で本音を話した。

「はぁ……?何馬鹿な事言ってんの……?」

ユリアは裕太に下の階に行ってほしくなかった。


14/16.「『』さんどうして怒っているんですか……?」

「グレーナーさんどうして怒っているんですか……?」

これまた別のグループで罠索敵用の肉壁(にくへき)として使われているところを裕太に保護されたテオ・オベルティはユリアが裕太に対して怒っている様だったのでどうして怒っているのか訊いた。

「だって聞いてよオベルティ!裕太がもっと下に行くって言ってるんだよ……?」

ユリアはオベルティにも裕太を止めるのを手伝ってほしかった。

「何だって……?それは本当か……?」

メンバーのゴールへの誘導を終えたサイモンがユリアの言っている事を耳にし本当か訊いた。

「本当だよ……!」

ユリアはグループのリーダーを務めているサイモンもこっち側に付けば裕太を止めるのに頼もしいと思った。

「僕は裕太がそうしたいならそうさせてあげて良いと思うし僕も付いていきたい」

テオは裕太に命を救われているし下の階は怖いが恩人の頼みなら断るつもりは無くむしろ自分も協力したかった。

「ちょっとオベルティ……!」

ユリアはテオが味方になってくれなかった為焦った。

「僕も出来れば付いていってあげたいが僕にはグループのみんなを守るという使命が有るからね。でも裕太が行きたいなら止めないよ」

サイモンはここで裕太を失うのは惜しいとは思いつつも裕太のチャレンジ心を無下には出来なかった。

「もうサイモンさんまで……!――分かった……!私も行く……!」

ユリアはサイモンまで裕太を止めてくれなかった為説得は諦め自分も行く事にした。

「来たいなら一緒に行こうか……!」

かくして剣士の裕太、魔法使いの優美華、弓使いのユリア、盾使いのテオの4名は真のゴールを求め大迷宮の更なる深みへと歩みを進めていったのだった。


15/16.「頑張った……」

そして幾多の苦難を乗り越えやがて大迷宮最下層のボスである邪神ヴァレリアンを倒し――。

「頑張った……」

モ「みんなお疲れ様」

「優美華ちゃんは何て?」

「『みんなお疲れ様』って言ってるよ」

「うん!みんなお疲れ様!」

「お疲れ様です……本当に死ぬかと思いましたよ……ハァハァ」

「だ、だよね……!」

大迷宮を攻略した裕太達はゴールゲートを潜(くぐ)り抜けるとついに第2ステージ前待機場に着き――。

「レディースエンジェントルメン!☆ついにみ~んなが途中で諦めた大迷宮が攻略されたよ!☆その大迷宮を攻略した天才中の天才である『最強パーティー』を温かく歓迎しよう!☆剣士 裕太、魔法使い 優美華、弓使い ユリア、盾使い テオの4名だ~!☆」

――クロノスの煽りのせいも有り拍手で迎えられたものの一部の者達からは睨まれてしまったものの――。

「彼ら裕太パーティーには100万ポイントとリクエスト権をあげるよ~!回数と叶えられるリクエストの範囲はボクの気分次第だけどね……!それじゃあ次のゲームまでまったね~!☆」

――クロノスから100万ポイントとリクエスト権を貰ったのだった。


16/16.「何を『』しようかしら!」

「何をリクエストしようかしら!」

「僕はお菓子とアイスがたらふく食べたい……!」

「優美華は何が欲しい?」

モ「私はまだ分からない」

「優美華ちゃんは何て?」

「『私はまだ分からない』って言ってるよ」

「うん!すぐに決める必要なんて無いもんね!」

うん!

優美華は大変嬉しそうにコクリと頷いた。

かくして裕太達はサイモン達と合流しリクエストをすると次のゲームに備えていくのだった。

*(いやぁ……!☆さすがボクの見込んだアベル君だ……!☆いやぁお偉方(えらがた)が熱中するだけの事は有るね……!☆それに勇者ならグループを作るかと思っていたがもし裕太君がグループを作っていればサイモン君の様に自分が作ったものに縛られていたはずだ……!☆だから大迷宮の攻略は少数精鋭だったからこそ出来た偉業なんだろうね……!☆それも見込んでの少数行動……!☆す、素晴らしいっ……!☆チュッチュッチュッ♡)*

隠し要素まで攻略してくれるというのはゲームクリエイターからすると非常に嬉しい事でそれを作った甲斐が有ったという事と世界神様達が熱中している程のアベルという男の活躍に胸が躍(おど)り滾(たぎ)ってもう手が止まりそうになくクチュックチュックチュッ♡っと最高の快楽にどうにかなりそうだった。

かくして裕太達最強パーティーは第1ステージで最高得点を叩き出し悪く言えば悪目立ちし神の座への優勝候補として命を狙われていく事になるのだった。


後書き

クロノスが配置したそのラスボスの邪神ヴァレリアンはそのラスボスの存在をマップやその階層のモンスターなどから推し量りその階層に至るまでに入念な準備をしてもなお不十分で、もっと前の段階からプレイヤー達が対ラスボスに特化した変態的な成長をしていなければ倒せない様に設定されており、裕太達がその極小の勝ち筋を選び抜き見事に少数精鋭で大迷宮を攻略した為クロノスはもう嬉し過ぎて絶頂してしまっていた。

ちなみにこの大迷宮やこのイベント自体がクロノスが監獄にいた時から温めていたものでついに日の目を浴びたという感じです。

これまたちなみにこのファーストステージで全プレイヤー6億人の内その20%に当たる1億2000万人が犠牲になっています。

またこのダンジョンでのプレイヤーの強化方法については武器の獲得、武器の強化、獲得した経験値の割り振り、食事による肉体強化、剣術書といったスキルブックによるスキルの獲得、魔道具による強化、特殊イベントによる強化などが有りました。

そして深層攻略組に怒りの視線が向けられるのは当然ながら早くゴールした者達は真相攻略組が攻略に成功するか失敗するまで待たされる訳でそのイライラが有りまた獲得したポイントを使って大迷宮が攻略されるかやいつになったら第2ステージが始まるかなどで賭博が行われておりその賭博で負けた怒りや自分が負けてしまうかもしれないという焦りも有るという感じです。