[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 2節 9話 スーパーアースの女神 – 暗殺 (レイナの視点)

前書き

青年男性向け – ソフト – R18

第2節 異世界の女神 (第1章 勇者の村)

第 9 / 28 話

約 7,000 字 – 8 場面 (各平均 約 870 字)

1/8. 私は「」

私はレイナ、スーパーアースを目指している女神。

*「スーパーアース」とは分かりやすく言えば地球よりも大きな惑星の事。*

そして私には嫌いな子がいる。それはアン。

アンは私の同級生だけどバカで我がままの癖に先生や世界神様から異様に好かれているのが気に入らなかった。

当時は分からなかったけどきっと大人からすれば問題児ほど可愛いのね。

でも私はそれが許せなかったわ。私は勉強も頑張って成績優秀で魔法の授業だって誰よりも好成績だったのに、「よく出来ました」ってあの子だけ褒めてもらえるなんておかしい。

「主催は世界神様だそうですが出席されますか?」

私は今 自分に仕えている天使からアンの成年パーティーに出席するかどうか尋ねられている。

「行くわ。世界神様が主催をなさるのなら行かない訳にはいかないでしょ――行く準備に取り掛かりなさい」

アンは嫌いだけど世界神様は好き。だから世界神様の顔に泥は塗らない。だって私もいつか世界神様のように自分の世界を持ちたいんだもの。

「かしこまりました」

レイナに仕えている天使はそう言って退室していった。

そのためにも私はもっと頑張らなければ……。

レイナは闇ギルドとの取引明細書を見てまだまだ足りないと不満を募らせた。

かくしてレイナは嫌いなアンの成年パーティーに出席する事となった。

そしてレイナはアンの成年パーティーに出席した。

錚々たる顔ぶれね……きっと私は女神としての仕事が評価されたんじゃなくてアンの同級生だったから呼ばれただけなんだろう。――腹立たしい……。

そして世界神とアンが登壇した。

世界神様は本当に素敵。それに引き替えアンときたらあの間抜けな顔。私が知ってるアンならこれがどれだけ大事なパーティーなのか、いえ、一生に一度の成年を祝うパーティーである事すら忘れてそう。――いえ、まさかね……さすがにあの子でもそんなにバカじゃないでしょ。

そしてアンの演説が始まった。

勇者ねぇ……。私には勇者なんて必要ない。私は勇者反対派。名前だって自分で決めた。

科学の世界では勇者なんて生まれないし必要無い。

魔法の世界の魔王だなんだってそんな危ない存在はいないもの。

単一種族で個体差も無い。

神の仕事なんて魂と資源の管理くらいで事足りる。

それにもし導きが必要になっても自分が地上に降り立ってどうにかしてしまえばいい。

レイナはアンの演説を聴きながらアンの誇張を疑いつつ自分の中にある勇者不要論を再確認した。

それにしてもそんなに優秀な勇者が本当にいるのか。

いたら楽なのは間違いないけれど。

でもどうしてアンばかり恵まれているのよ。

レイナは自分の惑星にもそんな勇者がいたら良いなと思っていた事もあり、どうしてアンだけこんなに恵まれているのと嫉妬してしまった。

2/8.「『』おめでとう」

そしてフリータイムが始まりタイミングを見計らってアンに話し掛けた。

「成年おめでとう、アン」

するとアンが衝撃的な事を言った。

「ありがとう!――で、あんた誰?」

はい!?!?!?!?!?

「同級生のレイナよ……」

(え、そんな子いたっけ……とりあえず覚えてる振りしとこ!!!!!)

「あっ、あ~、そう!私のパーティーでいっぱい楽しんでいってね!!!!!」

私の事を覚えてすらいないなんて……。

レイナの中で怒りと嫉妬がふつふつと煮えたぎりつつあったが、その感情を表に出さないように堪える。

「アンの勇者が1週間で国を造ったって本当?私にはちょっと信じられないのだけど」

何かズルをしたんじゃないかしら。

「本当よ!しかも正確には数日、ね!!!1週間もかかってないわよ」

ムキーーーー!!!!!!!

この女バカの癖に私にマウントを取ってきやがった!!!!!!

「その勇者ってアンにとってどれくらい大切なの?」

……。

「そりゃもう結婚を考えてるくらい大好きよ!!!!!!」

……。私決めた、アンの勇者を奪い去って立ち直れなくしてやる。

勇者がいなくなったらどうなるか見物ね。

「そう、頑張ってね」

レイナはアンにそう言うと後ろを振り返らずその場を立ち去った。

かくしてレイナはアンの勇者を誘拐する準備に取り掛かった。

そしてレイナは闇ギルドが運営する違法な亜空間にテレポートした。

レイナはフードを被り顔が見えないようにしている。

3/8.「あの、『』は扱っていますか?」

そして違法な魔道具を扱っている闇商人に声を掛けた。

「あの、魂を奪える魔道具は扱っていますか?」

この闇商人なら扱っているはず。

この闇商人は違法な魔道具を並べており、レイナはこの闇商人からなら目的の物を買えると踏んでいる。

「おや、見掛けない顔だね。――声からしてお嬢ちゃんか。――あるよ、これだ」

一見は駄目だったの?――声はもうしょうがないわ……――あ、あった……。

レイナは声の事を言われてビクっとしたが商人が見せてきたので見つかったと安堵した。

「いくらですか?」

レイナは奪った勇者がいくらで売れるか分からないのでなるべく安ければ助かると思っている。

「先ず扱い方を訊かないあたり素人(しろうと)だね」

レイナは再びビクっとしてしまった。

「いや、いいんだよ。だがお嬢ちゃんの後学(こうがく)のために言っとくとね、魔道具は百人百色だ。値段より自分に扱えるかどうかから知った方がいいよ――あとお嬢ちゃんは魔法が使えるかい?」

知らなかった……。

レイナは科学の世界の女神であり魔道具に全く詳しくないのだ。

というのも科学の世界に魔道具は不要だと考えているティアラの教育方針で学校で魔道具に関する教育は全く実施されていなかったからだ。

「ご教授ありがとうございます……――はい、魔法は使えます」

レイナは闇商人に感謝した。

「素直な子は好きだよ。――そうかい、魔法が使えるなら大丈夫さね。魔道具は基本 魔力が尽きない限り壊れるまで使えるよ。ただし魔力を持たない者が使うと魔道具内の魔力が尽きた時点で動かなくなるから注意さね――幸いな事にこれは扱いが簡単な代物さ。魂を奪いたい相手を殺したら、この蓋を開けて容器を少し相手に向ければいい。すると中に魂が入るから、入り切ったら蓋を閉じるだけだよ。――ほら、試しにやってみてごらん」

闇商人はレイナにその魔道具の使い方を見せ、今度は実際に触らせる。

「親切にありがとうございます。――はい、やってみます」

レイナはその魔道具を手に取り想定しながら蓋を開けたりなどしてみた。

4/8.「で、何をいくらで買うつもりなんだい?」

「で、お嬢ちゃんはそれをいくらで買いたいんだい?」

値段は要相談という事ね……。

安く言ったら馬鹿にされたと思って売ってくれないかもしれない……。

――まだ私の星は三重水素(トリチウム)を使わないから……。

*金100トン=天界の1ゴールド=1兆円=石油1億バレル*

「トリチウム1000kg分、金100トン1ゴールドで3ゴールドでどうですか?」

*トリチウムとは核融合をするのに必要な放射線物質の事で、1kgで38億円の価値が有り核融合炉を回すのに数十kgから数百kgが必要なのだが、普通地球型惑星ではそれ程手に入らない希少な資源*

(トリチウムに価値を見出しているあたりお嬢ちゃんは科学の世界か)

「魂と言わないあたりお嬢ちゃんはいい子そうだね。――良いだろう。3ゴールドでこれの説明書とその他諸々付けてやる」

闇商人はそう言ってレイナに説明書と別の魔道具も前に置いた。

「それは何ですか?」

とりあえず売ってくれるようで良かったけれど。

レイナは闇商人が置いた魔道具に顔を近づけた。

「これは使用者が痕跡を残さずに変身出来る魔道具、通称「変身具」だよ。お嬢ちゃん、まさか素のままそれを使うつもりかい?」

レイナは完全単独犯で強行するつもりだった。

「……ならそれも貰います。――でそちらは何ですか?」

私はこの手の事が初めてで分からない事だらけだから……。

「これは焼却具。跡が残らないように燃やしてくれるのさ。証拠を消せるし、ま、魂が欲しいだけならの話だけどね」

そんな物まであるんだ……。

「それも貰います」

違法な魔道具をこんなに……。

「で、これは神も殺せる毒だ。あたしの自信作。毒殺はオススメだよ」

闇商人は毒も提供しようとした。

「でももし殺したくない人まで飲んでしまったら……」

レイナはアンまで殺すつもりは無かった。

「その時の為のがこれさ。このアクセサリーは装着者への毒の効果を無効化してくれる優れものさ。どれでも好きなのを持っていきな」

闇商人は毒無効化のアクセサリーも提供した。

「そうだ。念の為にこれも持っていくといい。周辺一帯でテレポートも念話も使えなくなる妨害装置だ」

お節介だが周辺一帯でテレポートも念話も使えなくなるジャミング装置も与えようとした。

「あ、ありがとうございます……」

レイナはお婆さんが親切過ぎてつい感謝してしまった。

「だが3ゴールドは箱と焼却具と変身具の料金だ。他は返す様に」

闇商人としても3ゴールドで全てを与える訳にはいかなかった。

「分かりました」

レイナも3ゴールドで全て買えるとは思っていなかった。

「この取引内容で良ければボタンを押しな」

闇商人は取引に応じるかどうかの画面を表示させた。

「はい」

レイナは迷う事無くOKを押した。

5/8.「毎度」

「毎度。お金は移動した。あとこれをやる。名詞だ。私がここにいない時はその名詞のお店の住所に返却しに行きな。投函口(とうかんぐち)も有るからそこに」

闇商人は返却方法も伝えておいた。

「分かりました」

レイナは名刺を受け取るとお店の住所と返却方法も把握した。

「じゃ、お嬢ちゃんはもう品(しな)を持ってさっさと行きな。ここはお嬢ちゃんみたいなのが長居する様な場所じゃないよ」

闇商人は取引の成立を確認しこの危険な場所からすぐに立ち去る様にと警告した。

暗黒街には弱そうな客や商品購入者を狙うスリ師や強盗が数多くいる。

「分かりました。丁寧に色々とありがとうございました」

レイナは闇商人に心底感謝しフードをしっかり被るとその場を立ち去ろうとした。

6/8.「あんたはどっちだろうね?」

「それとお嬢ちゃん、これを買いに来るのは好きな相手を取り戻したい奴や裏稼業の暗殺者や人攫(ひとさら)いの連中さ。――あんたはどっちだろうね?」

レイナは闇商人から声を掛けられ足を止めたが、皮肉とも受け取れる事を聞き終えると無言でその場を立ち去った。

かくしてレイナは闇商人から魔道具の買い付けを行い、闇の交換業者を通じて代金と代物を交換すると、実行するための道具が揃った。

そしてレイナは1人の時に鏡の前で説明書を読みながら変身具を使ってみた。

うわっ!こ、これ……、お、おじさんだ!

闇商人はレイナが犯行をしても疑われないようにと正反対のおじさんに変身出来る魔道具を見繕っていた。

これなら正体を見破られずに出来る!

そしてレイナは続けて焼却具を使ってみるため屋外に出た。

適当に用意した不要な物を置き、それに向けて焼却具を使ってみると、それはみるみる焼却されていき、その場には最初から何も無かったかのようにそれは跡形も無く消え去った。

す、凄い!私は魔力があるからどの魔道具も壊れるまで使えるんだ……。

レイナは自分が買った魔道具たちを見て自分は何てお得な買い物をしたのだろうと震えた。

かくしてレイナは魔道具の使用法を確認した。

そしてレイナは変身具でおじさんに変身した後 自身を透明化してからアンの星にテレポートする。

透明化したのはアンの星の文明レベルや地域ごとの文化の違いが分からず、どのような服装で地上に降り立てばいいか分からなかったからだ。

アンの演説の際の「大河の河口を目指して」のくだりで文明レベルの見当は付いていたが、万が一という場合もあるだろうしレイナは用心深いので念には念を入れている。

とりあえず服装は麻でシンプルな上下という原始セットにしている。

そして全く警戒していないのか魔力が放たれている方を目指し移動していくとついにアンが勇者と共に作ったであろう今まさに開発中の国の首都にたどり着いた。

街中を歩いて文化や貨幣といった文明レベルを把握すると、別の街のひと気のない所で透明化を解き、小粒の金属の塊で服などを買うと商人のつもりで道具や生活基盤なども整えていった。

7/8.「私は『』と申します」

そして商人のつもりで適当に買い付けた商品を首都へと運んだ。

商人に扮したレイナはアンが1人になってひと気の無い所を歩くのをひたすら待ち続け、そしてついにその機会が訪れた。

「初めまして、未来の王妃様。私は商人のアラルンと申します」

レイナは昔から真面目な女性なのだ。真剣に勉学に取り組み、誰よりも高得点を叩き出そうとする。

そんな優秀なレイナは自分の星の民や自分に仕えている天使でさえ信用せず裏稼業も全て一人で行っている。

そしてそんなレイナはアンの性格を熟知しているため手際良くおだて、文化も把握したため名前もそれっぽく名乗り、何度も練習し抜け目なくザ、商人という感じで言動もパーフェクトに演じている。

「あらやだ!!!!未来の王妃様だなんて!!!!オホホホホ!!!!」

良い感じね。

「私は商人として宝飾品、美酒など何でも取り揃えております!未来の王妃様がお祝いの際やご結婚の際にはぜ・ひ・と・も、私 商人アラルンをご利用ください!!」

レイナは誰がどう見ても商人と疑わないレベルで完璧に演じている。

「宝飾品も美酒も取り扱っているのね!!私はどれも大好きよ!!!ええ!!!買ってあげるから最高の物を揃えて頂戴!!!!王と王妃であるこのわ・た・し、と側室の3人分を、ね!!!!」

目的の為ならお安い御用。

「お安い御用です!このアラルン、未来の王妃様のため大事なご商談を承りました!!!ではお近づきの印にこれらを好きなだけ持っていってください!!!!」

レイナは買い付けたそれなりの品々をタダでアンに贈ろうとする。

「やったわ!!!じゃあお言葉に甘えて全部貰ってあげるわね!!!!」

レイナは容易くアンに気に入られ、勇者に近づくその時まで餌付けしていく事となる。

「それでは王妃様のお家までお運びいたします!!」

生活環境を確認するチャンスです。

「ええ!!ぜひお願いするわ!!!」

かくして商人に扮したレイナはアンとの繋がりを手に入れた。

8/8.「うっ……!」

そしてその時が訪れた。

「うっ……!ううっ……」

ユウタはほんの少ししか飲んでいないのにも関わらず喉に激痛が走り全身に血の気(け)が引く様な倦怠感(けんたいかん)が襲ってきてコップをその場に落とし手で喉を抑えながら必死に呼吸しようとするも血反吐(ちへど)を吐(は)き立っていられなくて床(ゆか)に倒れてしまった。

「ならアン……!助けて……!何とかして……!」

ニンはアンに助けを求めたのだが――。

「わ、わ、私……!ど、ど、ど、どうしよう……!」

――アンは想定外の出来事に頭が真っ白になっていてただただ震(ふる)えて突っ立っているだけだった。

よし、ついにアンの勇者が毒入りのお酒を飲んでくれた。

「アン……約束も果たせなくて……ごめんね……」

ユウタは吐血(とけつ)しながらも結婚の約束を果たせなかったという意味で最後の力を振り絞って謝るとそのまま息を引き取った。

やっとか……よし、今ね

レイナは魂の誘拐具を開けその中に勇者の魂が入り切ると蓋をした。

これで完了。

その様子を見た商人は作り笑顔のままその場を後にした。

アンのあの顔も見れて本当に最高。

「お願いだから起きてよ……!ユウタ……!」

ニンは亡骸(なきがら)を必死に揺すり続けそれでも返事が無かったから最後は抱き締め続けた。

ふぅ、スカッとした……!

かくしてアンの勇者の暗殺に成功し魂を奪い取れたレイナは悲劇に直面し青ざめていたアンの顔とその光景を見て満足しその場を後にした。

後書き

しかしいくら気に入らないからってその女神の勇者を殺すって中々(なかなか)ですよ。

「スカッと」しちゃっていますし(笑)

まぁ神々は永遠に生きられるし支配者でもあるので死んだ奴は転生させたらいいという風に善悪の判断や命の重さが地上の定命(じょうみょう)(寿命が有る者達)とは違う者も多くいるのが現状です。