1/3. 私は
私はこの星の女神マナリス様に仕えている天使ラヴリスよ!
私が最も敬愛しているそんな女神マナリス様が、異世界から来たどこの馬の骨とも分からない男と一夜を過ごしてしまった……。
信じられない……信じたくない……。
私はあの時、部屋の外でマナリス様の喘ぎ声を聴きながら、聴こえてくる方に背を向けて膝を抱えて座り込んでしまったわ。
聴きたくない……もう聴きたくない……。
両手で両耳を強く塞いで一生懸命に現実逃避をしようとしたけれど、出来なかった……。
現実が強烈過ぎたのよ……。
私はただこの現実に耐えながら、涙が枯れるまで泣き続ける事しか出来なかったわ……。
一体どうしてこんな事になってしまったの……。
2/3.「またか」としか思わなかったわ……。
またアン様の所から勇者が来た時は、私は「またか」としか思わなかったわ……。
奇特な連中よ……。こんな縁もゆかりもない世界を異世界からわざわざ助けに来て、いつも私達を期待させてはあっさり死んでいくんだから……。
マナリス様を男と2人っきりにしたって、今までこんな事は一度も無かった……。なりそうな気配だって一度も無かった……。
マナリス様は今は弱々しく見えても、それでも私よりもずっと強いのよ。体調が戻れば私の比じゃないくらい強いの。だって星の神様なんだから。星の力を使えるんだから。神の領域に片足突っ込んでSSランク、染まったらSSSランクだけど、それでも結局一個人の亜神に過ぎない。
SSSランクの亜神が束になっても余裕で返り討ちにするのが星神S4ランクのマナリス様なんだから!!!
そんな訳でマナリス様はめちゃくちゃ強いから、男と2人っきりにしたって大丈夫だと思ったの……。それにこんな所に来る奇特な奴らなんて、少なくともアン様の審査は通過している訳だし、あっちの世界には魔法も無いから雑魚だろうし、人格もたかが知れていると思っていたのよ……。
3/3. でもまさかこんな事に……
でもまさかこんな事になるなんて……。
どうせ詐欺師よ……マナリス様を洗脳しているのよ……!何か外法を使ったのよ……!!
でなければマナリス様が篭絡されるなんてあり得ない……。
いえ、アン様が……アンがこの世界を乗っ取ろうとしていよいよ本性を現したのかもしれないわ……!
私が敬愛してやまないマナリス様に友達のフリをして騙して近づいて、ついにあの糞勇者を送り込んできて篭絡してきたのよ……!!!
私はもう何も信じられない……。
マナリス様、騙されてるのにあんなに幸せそうにして……。
ええ、見に行くわよ……!私がこの目で見定めてきてやるわよ……!!
あの糞勇者、あんな魔素が濃い所に降り立ってさっさとおっちんじまえば良いのよ……!!!!
かくしてラヴリスはユウタを見定める事を決意した。