[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 2節 18話 地球の女神 – 初の魂交換 (アンの視点)
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青年男性向け – ソフト – R18
第2節 異世界の女神 (第1章 勇者の村)
第 18 / 28 話
約 5,300 字 – 6 場面 (各平均 約 880 字)
1/6.「でどうするのよ!」
これはアンとマナリスがマナリスの星改造計画についてを話し合っていた時の事。
「でどうするのよ!」
アンの星は科学の世界にあり魔法が存在しないため肉体を強化する事が出来ずそれゆえ裕太を神にする事が出来ないためアンは何が何でも魔法の世界にあるマナリスの星で裕太を神へと進化させたいのだが、具体的にどうしたら良いのかまだ分かっていない。
(そうですねぇ)
「わたくしの星のクエスト優先度を上げるには魔王を登場させるなどしなければなりません」
魔王ねぇ……。
「そうするにはどうしたら良いの?」
(ん~)
「魂を入手すると良いでしょうね」
魂……。
「それってどうやったら手に入るの?」
私にはさっぱり分からないわよ!!!!
「自然発生や交換、レンタル、購入などでしょうね」
どれが良いのかしら……!!!
「でどれにするの?」
交換なんて私してくれる人いないわよ!!!!
「交換や購入が現実的でしょうね。――ですがハイランクの魂は盗品も多くそういった魂は闇市などでしか入手出来ないかと思います」
闇市……。
2/6.「『』なんて行った事無いんだけど!」
「私、闇市なんて行った事無いんだけど!」
アンは闇市や暗黒街などユウタの魂が盗まれるまでその存在すら知らなかった。
「わたくしも興味は有ったのですが行った事が無く……」
マナリスも行った事が無かった。
「興味が有ったって……ちょっとマナリス!あんた悪い子だったの?」
アンはマナリスの発言を聞いて悪い子だったのではないかと思った。
「い、いえ……ハイランクの勇者の魂などは購入するにもその必要性を証明しなければなりませんし、その為には度重なる審査を経るなどして時間も掛かってしまいますからね。ですから審査を経る事無く買えるのならそれに越した事は無いでしょうし、それにわたくしが欲しい魂がもしかしたら暗黒街で購入出来るかもしれないと思いまして……」
マナリスからしてももし魂を買うなら闇市の方が使いやすいと思っていた。
*世界にもよるが官公庁サービスは公営住宅や公売(こうばい)の様に申し込みが必要だったり必要性を証明して優先権を取得したりする必要が有るなど使いづらかった。*
*まぁ本当に星の数もいる神々が押し寄せたら大変な事になるし普通の取引の場合必ず取引履歴を残さなければならないから身元を隠して匿名で利用出来るうえに金が有ればトラブルも解決出来る暗黒街の方がむしろ安全だった。*
*またカトラスの世界の場合はよっぽどの事でない限りカトラスは動かない為暗黒街で取引する方が安全だった。*
「ん~じゃあ暗黒街に行くわよ!」
(アンのこの行動力は見習わなければなりませんね……)
「ですがわたくしは暗黒街の行き方やマナーなどを存じ上げません。その為誰か詳(くわ)しい方の助けを借りなければなりません」
ティアラは何となく行き方は分かっていたがまだ早い、と誰も教えてくれずその為マナーを知らなかった。
3/6.「『』に手伝わせるわよ!」
「ん~そう言われてもな~あ!レイナに手伝わせるわよ!」
アンは「暗黒街に詳しい神」が誰かを考えているとユウタの魂を盗んだ同級生のレイナを思い付いた。
「え!?――」
マナリスは突然アンが大声を出したので驚いたが――。
「あの、その方(かた)ってユウタさんの魂を盗んで暗黒街で売り捌(さば)いた方ですよね?」
――アンから話は聞いていたし誰かは知っていた。
「ちょっ!マナリス言い方!でもアイツなら何か知ってるでしょ!」
アンはレイナから暗黒街の闇市のオークションで売ったと聞いていた為レイナなら暗黒街への行き方やマナーを知っているはずだと思っていた。
「ですが大丈夫なのですか……?」
マナリスは幸せ絶頂だったアンがレイナに自分の勇者で結婚予定だったユウタを殺され魂を売られ行方不明にされたあげく天界で醜聞(しゅうぶん)をばら撒(ま)かれた事で面子(めんつ)も丸潰れにされ絶望のどん底に突き落とされていたのを知っているからこそ訊いたり手伝ってもらうなら他の神が良いのではないかと思った。
「例え相手が誰でもとりあえず私は今やれる事なら何でもしておきたいの。だから手段(しゅだん)なんて選んでられないでしょ!」
私のせいでもあるからね……実際私はバカだったもの……無知で毒見すら出来なかったんだから……それに私は定番の毒殺で勇者を殺されたバカな女神なんだもの……」
「アンは凄いです……!友達のアンが頑張るのなら私も頑張りますので一緒に頑張りましょう……!」
マナリスはあれだけ酷い目に遭ったのにも関わらず元気を取り戻し前向きに健気(けなげ)に頑張っているアンに感動し心底(しんそこ)友達として手伝ってあげたいと思った。
「ありがとう!友達って良いわね!一緒に頑張るわよ!」
アンは自分に友達がいて、マナリスがいてくれて良かったと思った。
「はい!ではさっそくですが今はとりあえず治安を悪くする為にもアンの星の犯罪者の魂を交換でくださいませんか?」
*詳細は第1章 第2節 第10話 10番11番を参照*
マナリスは交換を申し出た。
「良いけど何(なに)と交換してくれるの……?」
アンは犯罪者の魂ならいくらでも出しても良いと思っているがマナリスが代わりに何をくれるのか気になった。
4/6.「『』の魂などいかがでしょうか?」
「発明家や研究者の魂などいかがでしょうか?」
(私は今は文明を発展させたくはないですからね)
ティアラは交換で発明家や研究者の魂を出す事を提案した。
「するとどうなるの?」
アンは自分の頭で考える事を拒否(きょひ)しておりマナリスから明快な解説を聞きたかった。
(アン……)
「発明家が物を発明したり研究者が色々な研究をしてくれるので社会や文明が進歩しやすくなります」
マナリスは本に書かれていた通りの一行(いちぎょう)説明で返事をした。
「え……何で……?」
アンの星はまだ中東がメソポタミア文明であり発明家が物を作るとか研究者が色々な研究をするとかそういう次元ですらなくそれで社会や文明が進歩していく事を想像出来なかった。
*マナリスの星はカトラスの魔法の世界に有る為人々の居住地とダンジョンがセットであり人々はダンジョンから魔獣を倒し食料や素材、採掘をして資源、時に宝箱から完成品の品々を手に入れていた為初期状態で石からどうにかするしかない科学の世界のアンの星と比べマナリスの方が文明が発達する方法を把握しやすくなっている。*
「えっと……発明家や研究者など頭の良い人達が頑張ってくれるからです」
マナリスはこう言えばアンに伝わるかと思いざっくりと説明した。
すると――。
「それ凄いじゃない!でもどうしてそんな凄い魂をくれるの?」
――アンは理解出来たのだがどうしてマナリスがそんな凄い魂をくれるのか分からず理由を訊いた。
「わたくし考えたのですが勇者であるユウタさんの魂を私達で持ち続けられる様に今はわたくしの星の治安を悪くさせて楽しんだら今度はアンの星の治安を悪くさせる。そして今度はわたくしの星の治安を悪くさせる。この繰り返しでユウタさんの魂をお守りしませんか?」
マナリスはラリーにして持ち続ける案を手振りを交(まじ)えて提案した。
*アンはティアラからもしユウタの魂を取り戻したら一度返すと言われているのだがその後(ご)は勇者が必要な星に回す為没収すると宣告(せんこく)されている。*
「それは名案ね!それでいくわよ!」
アンはそれについては理解が早かった。
「はい!それで勇者、復興、勇者、復興をわたくしとアンの間で繰り返すのです……!」
マナリスはアンに特定のハイランク勇者を維持し続ける脱法スキームを披露(ひろう)していたのだった。
「貴方結構わるね!」
アンはニヤリ顔でマナリスにはそういう才能も有ったのだなと感心した。
「そ、それ程でも……!」
マナリスはアンに褒められたので嬉しくて照(て)れた。
*神々の世界は上位存在に咎(とが)められない限りは基本自由であり神同士で協定を結んだりする事はよく有る事。*
*また勇者の活躍を楽しみたい神々にとっても治安悪化と勇者生誕を繰り返すのはよく有る事だった。*
*しかしアンを取り巻く神々で探し求める魂の正体がアベルだと知らないのはアンだけでありどの様な脱法スキームも政略の達人である世界神ティアラや戦争の達人である世界神カトラスの前では無力なのだった。*
5/6.「『』は今はこれくらいよ」
「私が出せる犯罪者の魂は今はこれくらいよ」
アンはそう言うと魔力モニターをポチポチしマナリスのモニターに表示させた。
「今確認しますね。――はい。確認しました。それではわたくしが出せる魂もご確認ください」
マナリスも魔力モニターを確認すると自分も交換に出せる魂をアンのモニターに表示させた。
「え、それは分かったけど。で、どうしたら良いの?」
アンは表示は見たものの価値が全く分からずどう交換したら良いのかも分からなかった。
「とりあえずわたくしから提案を送りますのでご検討ください」
マナリスはモニターをポチポチし試しに1個の発明家の魂を選び提示してみた。
「おー!でも私分かんない。これに釣り合う犯罪者の魂ってどうやって選んだらいいの?」
アンはマナリスから送られてきた提案を見て驚くも魂の横に目安となる価格が表示されているのだが犯罪者の魂にも価値が付いているというのは何とも不思議な感覚でどうしたら良いのか分からなかった。
「犯罪者も価値が有りますからね。不思議ですよね。それと横の価格はあくまで平均値で目安ですから。それじゃあわたくしはこの魂と交換したいです」
マナリスはアンの気持ちに共感しつつも説明し試しにアンの犯罪者の魂を1つ選んでみた。
「げっ、こんなのと交換したいの?」
アンはさすがに釣り合っていないのではないかと思ってしまった。
「はい。あとこれエピソードも見られるんですよね。盗賊の頭領ラガル。多くの凶悪犯罪に手を染め貧民街を支配していたもののある時凄腕女商人と女傭兵に手下(てした)共々(ともども)返り討ちに遭(あ)い衛兵に捕らえられ投獄。その後(ご)斬首(ざんしゅ)刑に処(しょ)された、だそうです」
マナリスは盗賊の頭領の前世の略歴を読んでみた。
「えー、盗賊の頭領が女にぼっこぼこにされたの?だっさー」
アンはその出来事が本当の事とは思えなかった。
「そちらの世界の事はよく分かりませんがこちらの世界では女性でも男性に負けず劣(おと)らず強い方々(かたがた)は大勢(おおぜい)いらっしゃいますからね。女性の剣聖や宮廷魔導士も珍しくはないですし」
マナリスの世界では普通に有り得(え)る事だった。
6/6.「『』の魂が釣り合うの……?」
「でもこんなのと発明家の魂が釣り合うの……?」
アンにはまだ信じられなかった。
「頭領タイプは貴重ですからね。悪党達を束(たば)ねられる方(かた)がいらっしゃらないと闇ギルドなどが成立しないですし。こちらが出す発明家は魔道具職人で魔道具職人工房の工房主(こうぼうぬし)ですから。それに値段なんて有って無い様なものですし」
マナリスは釣り合う交換だと思っていた。
「そ、そう……押したわよ」
アンは何のこっちゃ分からなかったがとりあえずマナリスに従(したが)ってみる事にした。
「ありがとうございます。確認しました」
アンとマナリスは初めて魂を交換した。
「こ、これが魂の交換なのね……!」
アンは初体験に妙に興奮していた。
「そうですね。わたくしも新鮮な感覚です」
マナリスは友達と魂を交換出来た事が何より嬉しかった。
「それじゃあどんどん交換してくわよ!」
一度経験したアンにはもうそれの精神的ハードルは無いも同然だった。
「はい!」
マナリスもアンとの交換が楽しくてどんどん交換していきたかった。
かくしてアンは発明家や研究者達といった有益な魂を手に入れた一方(いっぽう)、それと引き換えにマナリスはアンや1号達が扱いに困りストレージに放置していた凶悪な犯罪者達の魂を手に入れるという普通の人が見たらダレトクと思ってしまう様な本人達にとっては最高の初めての魂の交換を終えたのだった。
後書き
ちなみに暗黒の魂の中で意外と価値が高いのは邪神教の信者です。
そもそもメジャーな宗教を信仰する者が多い中(なか)でマイナーなそれこそ邪神を信仰する者は少ないのでその希少価値が有ります。
またやはり邪神を用意してもその邪神を信奉(しんぽう)し手足となって世界各地で破壊活動を行(おこな)ってくれる邪神教徒がいなければ始まらないですからね。
という訳で邪神が買われるとそれと同時に邪教徒も買われるのですが邪神自体の価値が物凄く高いのでそれで金銭感覚がおかしくなっている時に買うからかお金持ちの神が買うからかいずれにせよ邪教徒の価値も高いという訳です。
それとちなみに「邪神」と「魔神」は似て異なるものです。
まぁ正確には人々に害の有る神が「邪神」で魔王や魔族の者、その他(ほか)魔法の扱いに長(た)けた者が神の領域に至(いた)ってなるものが「魔神」です。
しかし魔神もその強さから人々から恐れられ「邪神」と一緒くたに語られてしまう事がよく有るという様な感じですね。
まぁ野心の有る者が魔神になって世界を統(す)べようとしたら戦争になるので人々が恐怖してしまうのも無理は有りません。
まぁ話は変わりますがお金に余裕の無い神が用意出来たのが魔神だけだったとしてもその魔神の力を頼ったり利用しようとしたりする者の方から勝手に寄ってきたり対価だ生贄だとなって結局信仰の対象になり世界に絶望した者達が勝手に集(つど)って旗頭(はたがしら)にされてしまうなんて事もよく有るのでその自然発生を待てない神々が信者とセットで買うという感じです(笑)