[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 2節 17話 科学の世界神 – 取り調べ (ティアラの視点)
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青年男性向け – ソフト – R18
第2節 異世界の女神 (第1章 勇者の村)
第 17 / 28 話
約 5,400 字 – 8 場面 (各平均 約 670 字)
1/8.「『』はこちらの取調室におります!」
世界神は捜査当局の取調室にいるレイナに会いに来た。
「世界神様!容疑者はこちらの取調室におります!」
天使の捜査局長が挙手で敬礼し案内してくれた。
「あら、ありがとう♪」
ティアラは案内に導かれついに取調室の前まで来た。
「世界神様がお越しだ!取り調べは一時世界神様が引き継ぐ!!」
局長がドンドンドンと扉を叩きそう言うと、――。
(せ、世界神様が!?!?!?)
――中で取り調べに当たっていた二人の捜査官が出て来て、――。
「せ、世界神様!!!!け、敬礼!!!!」
――その捜査官達は敬礼した。
「あら、ありがとう♪」
ティアラも軽めに可愛く敬礼してみせた。
「ハッ!!!恐悦至極にございます!!!!」
その捜査官達は緊張している。
それもそのはず、目の前にいるのは世界を司る最高神だ。
「世界神様に何かあるといけない!お前達も扉の外で待機していなさい!」
(我々は世界神様の身も守らねばならない!!!!)
「ハッ!!!!!」
捜査官達は普段出さないレベルでキレッキレに「ハッ!!!」と敬礼した。
2/8.「少しの間『』を借りるわね」
「それじゃあわたくしも取り調べをするから少しの間レイナを借りるわね」
(レイナちゃん大丈夫かしら)
「はい!少しの間と言わずお好きなだけ取り調べなさってください!!それでは私は扉の傍に待機しておりますからいつでもお呼びください!」
熱心で忠実で良い天使達だわ!
「分かったわ!じゃ、行ってくるわね♪」
ティアラはそう言って取調室に入っていった。
「行ってらっしゃいませ、ティアラ様」
当然プリシラも付いてきていてティアラにお辞儀してそう言った。
「ハッ!!!!」
捜査官達も敬礼して見送った。
かくしてティアラはレイナがいる取調室に入った。
そしてレイナを目視した。
「あら、レイナちゃん」
レイナは取調室の椅子に座っていた。
「せ、世界神様!」
(世界神様が来てしまうなんて!)
完全にレイナの想定外だった。
「わたくしも座るわね」
ティアラもそう言って椅子に座った。
「は、はい……」
レイナは母親のように慕い尊敬しているティアラに悪事がバレてしまい気が気でなかった。
3/8.「妙(みょう)な事はされてない?」
「何(なに)も妙(みょう)な事はされてない?」
ティアラはレイナに何か酷い事をされていないか訊いた。
(酷い尋問とかの事だろうか……)
「特には何も……」
そう。
「そう、なら良かったわ。で、貴方がアンの勇者を殺(や)ったの?」
ティアラは要点を単刀直入に尋ねた。
「わ、わ、私は……」
レイナは正直に素直に自分がしたとは言い出せず返事がおぼつかない。
「ところでレイナちゃんの夢は何かしら?――ああなりたい、こうしたいなど色々あるものでしょう?」
(私の夢……)
i can’t survive lyrics say「私はスーパーアースの女神になりたいです……」
あら。
「あら、レイナちゃんは大きな星の女神になりたかったのね。――それで、スーパーアースのどんな女神になりたいの?――星の民達に愛されたいとか、多くの大陸を平和にしたいとか」
(私は……)
「はい、星の皆に愛されたいですし、たくさん大陸を作って平和にしたいです」
それじゃあ。
4/8.「『』ちゃんにとって理想の『』とは何かしら?」
「それじゃあ、次はレイナちゃんの理想の女神像について聞かせてちょうだい。レイナちゃんにとって理想の女神とは何かしら?」
(理想の女神像……)
「優しくて、皆から頼られて、世界神様のような女神様です……」
あら。
「あら、嬉しい事を言ってくれるわね――でね、わたくしがこれらの事を尋ねたのはね、レイナちゃんに理想と現実を知ってほしかったからなの」
(理想と現実……?)
「どういう事ですか……?」
フフ。
「これはわたくしの勇者様から教わった事で受け売りなんだけどね、自分が思い描いている理想と今自分がしている事、つまり現実を見つめてみようって事なの。――どんなに素晴らしい理想を描いたって、それを忘れて自分勝手に悪い事をしていたらいつまで経っても理想の自分にはなれないの――」
世界神様の勇者……。――現実を見つめる……。――理想の自分……。
「――仮にレイナちゃんが悪事を働いてしまったとして、それって星の皆に愛される事かしら?望んでいる平和な事かしら?優しくて皆から頼られてわたくしのような女神がする事かしら?」
ティアラは理想と現実をレイナに認識させようとする。
「いえ……全く違います……」
レイナも理想の自分とは程遠い事をしていると理解した。
「彼はこうも言っていたわ、理想の自分になれないのは何らかの妨害が働いているからだって。例えば道徳心が欠けていたり嫉妬や怠惰といった自分の心の力や、物理的に誰かに邪魔されたり環境のせいだったりと自分ではどうする事も出来ない外部の力とかね――それで貴方はそのどちらかしら?――誰かにやらされたの?それとも自分の判断でしたの??」
(私は……)
「自分の判断でしました……」
その調子よレイナちゃん。
5/8.「でもどうしてしてしまったの?」
「でもどうしてしてしまったの?」
自分の感情に向き合う事が大事なのよレイナちゃん。
「……私はスーパーアースになるために資源が欲しくて……そんな時にアンのパーティーに招待されて……お話しした時に私の事を忘れてて……それで腹が立ってしまって……」
そう。
「レイナちゃんはアンの事が嫌い?」
(私は……)
「嫌い、です……」
それは。
「それはどうしてだと思う?――遠慮無く言って良いわよ」
(……)
「バカな癖に先生と世界神様から愛されてて……パーティーで私の事をバカにして……私の方が断然 優秀で良い事をしているのに私には勇者が当たらなくて……アンだけ凄い勇者まで引き当てて自分の力でも無いのに自分の功績だって感じで偉そうに調子に乗ってて……勇者を奪って無力さを分からせて惨めにさせたかったんです……」
あら、結構正直に言うわね。
「いい?誰の事が好きだとか嫌いだとか、好きに思って良いの。でもね、殺したり奪ったり苛めをしたりとかね、酷い事はしちゃいけないのよ。――それにね、レイナちゃんにだってアンにだって良いところはたくさんあるの。短所ばかりではないのよ。――お付き合いは相手の良いところを認める事から始まるの」
ティアラがそう言うとレイナは――。
「ごべんなざい……」
――泣き出してしまった。
6/8.「『』って約束出来る?」
「レイナちゃんが理想の女神になる為よ。もうしないって約束出来る?」
レイナが自分の理想の女神になるためには自分の言動を理想に近づけないといけないのだ。
「はい……」
ならよし。
「ならいいわ、無罪放免よ」
(え!?)
レイナはあまりの甘々裁定に驚いてしまった。
「どういう事ですか……?」
レイナが理解し難いのも無理は無いだろう。
「ただし、殺した勇者やアン、その他 自分が迷惑を掛けた全ての者達に謝罪しなさい。それが無罪放免の条件よ」
謝罪……。
「自分が悪い事をしたらその罪を認めて謝らないといけないの。レイナちゃんの理想の女神様ならそうするわよね?」
――た、確かに……。
「でも許してもらえるとは……それに私はもう誰の前にも出られません……」
レイナちゃん……。
「それが罪の重さなの。――悪い事をするとそういうしっぺ返しがあるのよ。――だから悪い事をしちゃいけないの」
確かに……。
レイナは優秀なので理詰めで理解していった。
というのも、頭の良い奴には理詰めで説得しろとティアラに教えたのはアベルだった。
(理想の自分……)
レイナは少しずつ理想の自分を意識し、その理想に近づける努力をしていこうと思いつつあった。
7/8.「みんなにきちんと『』します」
「分かりました。みんなにきちんと謝罪します。埋め合わせもします」
悪い事をすれば理想の自分像を裏切る事になってしまう。
この現実を理想を意識させる事で向上させるという手法は少しでも善性を持っている者には有効なのだ。
「そう、頑張ってね。じゃ、わたくしはもう帰るわ」
ティアラはそう言って席を立った。
「あの、ティアラ様……ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ございませんでした……」
レイナはティアラに謝罪した。
「いえ、いいのよ」
おかげでオークションまで漕ぎ付けられたし、まぁ結局落札出来なかったのだけど。
「でも……あの勇者の魂はもう私の手には……それにあの王国だって……」
レイナがいくら謝ろうとアベルの魂はもうレイナの手元には無いし、ユウタがいなくなった事で王国が大変な事になってしまった事など想像に容易かった。
「その申し訳無さと手遅れの気持ちを忘れない事よ」
しかしそうなのよねぇ……。もうアベルの魂がどこへ行っちゃったのかさっぱり分からないのよ……。
ティアラとカトラスは互いに天使達を引き連れアーベルの闇オークションに乗り込んだのだが支配人補佐の手際が良く証拠は一切掴めなかった。
毒殺……辛かったわよねアベル……だからこそ私が癒してあげなくちゃ……!
アベルは非常にガードが固いためティアラはアベルにはそれくらいの苦痛が無いとむしろ付け入る隙が無いと考えていた。
「はい!」
レイナは元気を取り戻したがティアラは憂鬱になってしまった。
かくしてティアラはレイナへの取り調べを終え取調室から出たのだが――。
8/8.「『』様!」
「世界神様!」
――取調室の外にはプリシラと先程の局長と捜査官二人だけでなく何やらたくさんの捜査官や事務官達まで集まっており――。
「ティアラ様、お疲れ様でした」
――プリシラはそう言ってお辞儀し――。
「世界神様!取り調べお疲れ様でした!」
――その他(ほか)大勢からはそう言って敬礼された。
「あら、皆待っててくれたのね。ありがとう♪」
ティアラは皆にそう言って微笑んだ。
「ハッ!――ところで世界神様、あの者への処罰はいかようになされますか?」
レイナは世界神であるティアラが特別に目を掛けていたアンの勇者に対して殺害と誘拐、その他 違法魔道具所持、悪意による情報流布、度重なる不正取引などもあり重罪なのだが、――。
「謝罪したら無罪放免よ。まだ若いからこれからに期待って事。でもまた悪さをするようなら監獄に入れるわよ?」
ティアラはレイナに判決を告(つ)げた。
*神々の世界にも監獄が有るのだがこの監獄は神々にとって地獄そのものだ。というのも監獄には娯楽が無いためもし監獄に入れられれば永久の時を刻む神々にとっては退屈という名の地獄に喘(あえ)ぐ事になるからだ。それに重罪犯の場合今までの地位が取り上げられる事になり神としての地位や自分の星など資産まで全て失いかねないのだ。*
「ハッ!」
ティアラの命を受けた局長はそう言って敬礼した。
かくしてティアラはレイナの取り調べを終えた。
そして取り調べから解放されたレイナはアンに謝罪しに行った。
「ごめんなさい……――お詫びにアンの勇者を売って得た物は全てお譲りします……」
レイナはアンに必死に誠意を見せて謝罪した。
「あんたがいくら謝ったって私のユウタは帰って来ないのよ!でも貰える物は貰っておくわ!じゃ、用が済んだならもう帰って!」
かくしてレイナはアンに許してもらえなかったものの許してもらえるまで謝罪を続けていくのだった。
後書き
レイナは捜査官からの取り調べの際に魂を持ち込んだ仲介屋の名前を吐(は)かなかった為ティアラとしてもそれ以上は追及しない方針です。
まぁまだ他にもアベルを探し出す手段が有りますからね。レイナが良い女神になってくれる事を期待してそれ以上は踏み込まないという感じです。
しかしティアラのお気に入りが酷い目に遭(あ)ったという事とティアラにとって大事な魂が誘拐されたとあってティアラへの忠誠心が強い者達が暴走しレイナへの取り調べの際には情報入手を急いで大きな声や机ドン!や食事抜き、などの事はしてしまっています。
またティアラとしては暗殺はしてはいけない事なのでレイナの更生を思ってある程度の痛い目なら許容するという感じです。
まぁもちろんレイナを監獄に入れるつもりも何か罰を与えるつもりも有りませんでした。
しかしティアラが一番残念だったのはやはりオークションでアベルの魂を落札出来なかった事です。
アベルの魂がオークションに持ち込まれる事までは想定の範囲内でしたからね。