[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 2節 13話 スーパーアースの女神 – 売却 (レイナの視点)
目次
Toggle前書き
青年男性向け – ソフト – R18
第2節 異世界の女神 (第1章 勇者の村)
第 13 / 28 話
約 4,500 字 – 15 場面 (各平均 約 570 字)
1/9.「『』を売りたいんですが」
そしてレイナは手に汗握り興奮冷めやらぬ状態で暗黒街へ行く時のフードの格好に着替え魔道具を携えテレポートした。
もちろん目的は勇者の魂を売るためだ。
レイナは優秀なのでどこにどのようなお店があるのか把握している。
そしていくらになるかは分からないがアンを困らせる事が目的なので二束三文でも構わないと思っている。
まぁ今のレイナの心情は願わくばプラスマイナスゼロが良いとといったところ。
そして魂の仲介人に話し掛けた。
「『賢いリス』です。勇者の魂を売りたいんですが」
顧客識別ワードを言った後、レイナは仲介人が食いつくように「勇者」というフレーズを使った。
「おう、リスか。――今回の売り物は勇者と。――で、どれくらいのだ?」
どれくらい……。
「科学の世界神様が特別に目を掛けておられる女神アンの勇者です」
これで通じると良いのだけど。
「お~、そりゃ最近買い注文が入ってるやつだな。――でも世界神様がバックにいるつんでどの攫い屋も仕事を引き受けてなかったんだが、まさかお前が仕留めちまうとはな――で、ブツは持って来てんのか?」
世界神を敵に回すのが怖過ぎてどの攫い屋も仕事を断っていた。
「あります」
レイナはユウタの魂が入っている魔道具を仲介人の前に置いて見せた。
「……鑑定してみても良いか……?」
仲介人は腐るほど魂を見てきているのでこれほどの輝きを放つその魂の異様さには気が付いた。
「どうぞ」
仲介人は息を呑みルーペでその魂を覗き込んだ。
そして仲介人は驚いた様子で魂を覗き込んだ。
「勇者の魂だったよな……。リス、俺は長い事この仕事してっけどよ、こんなの生まれて初めて見たぜ」
裏ルートでは稀に魔将クエスト級や極まれに魔王クエスト級の魂が出回っているが、仲介人も初めて見るレベルの魂だった。
「そうですか……」
アンがそんな勇者を引き当てていたなんて……確かにあの勇者は賢そうだったけど。
「すまねぇ、俺の一存じゃ値段が付けられねぇから親父を呼んでもいいか?」
親父って師匠?それとも上司?
「はい、どうぞ」
売れると良いけど……。――最悪自分で使うしかないかなぁ。
「すまねぇ。すぐ呼ぶからよ。――親父、ちょっと珍しい魂が入ったんでさぁ。勇者の魂なんだが値段が付けられんで見に来てくれやせんかね?」
そう言って仲介人は親父に連絡を取り始めた。
「良かったな。すぐ来るってよ」
仲介人は親父との連絡を終えるとそう言った。
「分かりました」
レイナは仲介人と共に仲介人の親父が来るまで待つ事となった。
2/9.「おう、来てやったぞ」
そして仲介人の親父が来た。
「おう、来てやったぞ。――ありきたりなもんだったら許さねぇからな!――どれ、その珍しいもんとやらを見せてみろ」
白髪白髭の小太りのおじさんが店に入ってきて仲介人側に回って正面まで来た。
「これです、どうぞ見てくだせえ」
仲介人がそう言うと親父がその魂が入った魔道具を手に取った。
「どれどれ……――こりゃすげぇ輝きだな……確かに珍しい……」
仲介人の親父はその魔道具をかかげ片方のまぶたを閉じ光に照らして回したりしてその中を注意深く覗き込んだ。
確かに輝いてるけど魂ならどれもそうなんじゃなくて……?
「ですよね。――等級はどんなもんですか?」
仲介人の親父はん~~~~と迫力のある低い声で迷うように唸っている。
「お嬢ちゃん、この魂の元の所有者は?」
それが一体何の関係が……。
「女神のアンです」
先程からずいぶんと名前を出しちゃってるけど守秘義務があるだろうからきっと大丈夫でしょ……。
「バックは?」
バック……お目付け役って事かな……。
「お目付け役という意味でなら科学の世界神様です」
レイナがそう言うと仲介人親父が発するオーラが鋭くなり場の空気が一気に緊張感を増した。
「世界神がバックに付いてるって事なら、こりゃ下手すれば楽園級だぞ」
親父がそう言うと仲介人も息を呑んだ。
「マジっすか?――SSS級とかじゃなくて?」
仲介人は信じられなさそうにしている。
「SSSではない。――昔ベルシリーズの1人でSSSのメイベルの魂を見た事があるが、この魂はその比じゃねぇ」
そもそもハイランク程 強いので暗殺する事自体が難しいのだ。
SS以上は神の領域に片足を突っ込んでいるか実質神なので寿命も永久だし暗殺する事自体が容易ではない。
しかもそれが裏ルートに出回るという事は資源に困って手放されたケースを除けば攫い人などにより暗殺されたという事がほとんどなので、攫い人にも相当の技量が求められ、高ランクを相手に出来る程の攫い人がそれ程いるわけではないので攫い人が高ランクの魂を手に入れる事は非常に難しい事なのだ。
しかし手が無い訳ではない。暗殺出来ない相手の場合はターゲットと強敵をぶつけて負けた方の魂を攫うという手法も取られている。
「こいつの名前は?」
名前……。確かアンが「ユウタ」って言っていたような……。
「確か『ユウタ』です」
(聞いた事が無い名前だなぁ)
3/9.「お前さん、こいつをどうやって『』した?」
「お前さん、こいつをどうやって殺した?」
どうやってって……。
「毒で殺しました」
……。
「それだけじゃ情報が足りねぇ。もっと詳しく話せ」
仲介人の鬼気迫る感じにレイナは気圧されてしまった。
「アンと勇者と側室が3人でいる時に部屋に入り毒入りの酒を提供しました」
レイナは少しずつ詳細に話し始めた。
「その3人は何の集まりだ?」
レイナは親父の目的が何なのか分からない質問に戸惑っている。
「確か諸外国との国交樹立と交易条約締結と、結婚のお祝いだったかと」
レイナは思い出しながら話す。
「国はどれくらいで作ったんだ?あと文明レベルは?」
一体その情報が何の役に……。
「期間は1週間足らずです。文明レベルはこれから大河周辺で国家を樹立、という感じでした」
……。
「こいつはアンとかいう馬鹿な女神に飲んでって言われて飲んだのか?――毒入りだって分かってて」
!――レイナは親父が言った事に驚いた。
「はい、そうです」
……。
「少なくともSSS以上の輝きを放つ魂、科学の世界神がバックに付いている、1週間足らずで国を造った手腕を持ち、そして優しさで死んだ……――こいつぁアベルじゃねぇか???」
アベル?私には誰の事を言っているのかさっぱり分かりません。
「それマジっすか?俺 読みましたよガキの頃」
読みました?
「あの、すみません、誰の事を言っているんですか?」
有名な人なのでしょうか……。
「嬢ちゃんも絵本くらい読んだ事あるだろ?勇者アベル物語のアベルだよ」
あ、え、あのアベル!?!?!?
レイナも読み聞かせてもらった事が有り知っていた。
4/9.「結局どうなったんですか?」
「私も読んだ事が有りますが、エピソードがたくさんあって全部は把握出来ていないのですが、結局どうなったんですか?」
絵本が何枚も有るのでさすがに全部は読めていない。
まぁそもそもレイナは勇者不要論者の為勇者に興味が無く知らなかった。
「俺も詳しくは分かんねぇわ、教えてくれよ親父」
レイナと仲介人の視線が仲介人の親父に集まった。
「ワシはちょうどこのアベルが活躍しとった世界の生まれでな、ワシの世界の元世界神様はめちゃくちゃじゃった。あちこちの惑星で不幸を操作しとった事がバレて討伐騒ぎになっての、世界が2分して大戦争になったんじゃ。で、ワシは何とか生き残ったがそれはもう凄くてな、最後は世界神様と一騎打ちになって相討ちになったそうじゃ」
世界神様と相討ち……。
「じゃあ世界神クエスト級って事か?」
世界神クエスト級……。
「それが楽園級じゃ。――しかもワシの世界の元世界神様はとてつもなく強かった。なんせ実力主義の権化(ごんげ)じゃったからな」
そうか、普通の世界神じゃないんだ。
「でもおかしくねぇか?相討ちになったとしても魂は輪廻転生するんじゃねぇの?」
確かに。
「これは皆も知っておるだろうが、ほとんどの魂は星の中で循環する。ところが世界が共有すべき魂は世界神の管理下で扱われる。じゃがそれ以上の魂はどうなるか分かるか?」
それ以上の魂……。
「世界神様の上司の元へ行くって事か?」
世界神様の上司……雲の上過ぎて想像も付きません……。
「そうじゃが、もっと上かもしれぬ。――ただ1つ確かな事は当時のアベルのホルダー、現 科学の世界神とその親友で現 魔法の世界神を筆頭に多くの神々がアベルの行方を捜し続けているが今まで1度も見つかっておらず、もしこの魂が本当にアベルのものじゃったら、とんでもない値が付くという事じゃ。それこそ、買い手 次第で惑星1つはおろか銀河1つは手に入るレベルでな」
仲介人の親父がそう言うと私も仲介人も思わず息を呑んでしまった。
5/9.「じゃあこの『』をどうすんだ?」
「じゃあこの魂をどうすんだ?下手したら俺ら全員殺されるレベルの代物(しろもの)だろこれ」
わ、私……死にたくない……。
「よく分かっておるな。――カトラス様も口癖じゃったように、わしら全員ぶっ殺されるでの」
……!!!!
「わ、私……そんなつもりじゃなくて……知らなくて……」
まさかこんな大事になってしまうなんて。
「もう遅いぞお嬢ちゃん。――で、おいくらで取引する予定だったのじゃ?」
仲介人の親父がそう言うと仲介人の視線までレイナに集まってしまった。
「私は……二束三文でも、出来れば魔道具を買った分くらいは回収出来たらいいなと……」
レイナは素直に話した。
「おいマジかよ……それお前に一体何の得があんだよ……」
要するに材料を100で買いました。そして造った商品を100で売りました。結果 利益は0です、という話だ。
「よさんか、このお嬢ちゃんにも色々あるのじゃよ。――で、この勇者を自分で使ってみる気はないのかの?」
仲介人の親父はその長い人生経験からレイナの目的はおおよそ見当が付いている。
6/9.「私に『』は必要有りません」
「私に勇者は必要有りません」
レイナにはアベルだろうと何だろうと勇者を使う気は無い。
要するにフェラーリが手に入ろうとレイナは車を必要としていないから不要なのだ。
「そうか、せっかく手に入れたのにもったいないのう……。まぁワシらは仲介人じゃ、最大限高値を付けて売る、嬢ちゃんは代金を受け取る、ワシらは10%の手数料を頂く、でよいかの?」
仲介人の親父はレイナに契約についての確認をする。
「はい、それでよろしくお願いします」
とりあえず私はこんな物騒な魂を早く売ってしまいたい。
「で、嬢ちゃんはいくらで売りたいんかの?」
親父はレイナに売りたい価格を訊いた。
「わ、分かりません……」
レイナは値段が分からなかった。
「じゃあ何が欲しいかで考えるとよいぞ」
親父はレイナに売却価格を決めやすい様に助力した。
「何が欲しいか……なら私は資源が欲しいです」
科学の世界では人々は魔法を使えないので文明を発展させるには資源が重要。
「それは人と天然のどっちかの?あと具体的に言ってくれると助かるんじゃが」
資源といっても天然資源と人的資源の2種類が有り親父はレイナがどちらが欲しいのかが分からなかった。
「私の星の文明レベル的に貴金属や石炭、石油、未来を意識してウランやプルトニウム、レアアースなんかも欲しいですが、人的資源も手に入るのなら優秀な人が大勢(おおぜい)欲しいです」
欲しい資源を挙げればきりが無くレイナは指で数えながら自分が欲しい資源を列挙した。
「よいじゃろう。とりあえずお嬢ちゃんが持ち込んだ魂が本当にアベルのものなのか分からんし、いずれにせよワシらがこれを普通の高ランクの勇者の魂として値段を吊り上げやすい高級オークションに出して買い手を探す。それに魂は今ワシらが責任を持って預かるし最低入札価格も決める。そして契約が成立したらワシらが10%、オークション屋が10%、そしてお嬢ちゃんが80%を受け取る。でよいかの?」
要するに取り分としては10%が仲介人、10%がオークション屋、80%はレイナが受け取るという事だ。
「はい、それでお願いします」
異論はありません。
7/9.「それでは『』成立じゃな!」
「それでは契約成立じゃな!ワシは仲介屋クレト、で、嬢ちゃんがこいつの名前を知っとるか分からんが弟子のランドルだ」
クレトはレイナをお客として認め名を名乗った。
「私は『賢いリス』です。宜しくお願いします」
レイナも名を名乗った。
「嬢ちゃんはちゃんとわきまえとるな。そうじゃ。嬢ちゃんの様なお客は二つ名でよい。ここで名を名乗ってよいのはワシら稼業人だけじゃ」
クレトはレイナがしっかりしていて感心した。
「あ、ありがとうございます……」
かくしてレイナは仲介人達と契約を交わし自分の星の亜空間へと帰宅した。
8/9.「『』ゴールド……!?」
そして契約が成立したクレトから――。
「嬢ちゃん。例の物(ぶつ)が売れたぞい」
――念話が掛かってきた。
「いくらでしたか?」
レイナは落札価格を訊いた。
「ちょっと色々有っての……落札価格は金100トン1ゴールドで3000ゴールド。嬢ちゃんの取り分はその8割だから2400ゴールドじゃ」
クレトは落札価格を告げた。
「金100トン1ゴールドで2400ゴールド……!?」
レイナその金額にレイナは驚いてしまった。
レイナは惑星の神にとっては一瞬で大金を手に入れてしまったのだ。
*金100トン1ゴールドで石油1億バレルを買う事が出来る。*
*また石油の埋蔵量は原油が例えば埋蔵量世界1位のアメリカが2640億バレルなのでレイナは今回の取引で2400億バレルという大陸規模の大規模油田を手に入れた事になる。*
*ただ宇宙国家クラスの神からすれば端金(はしたがね)だった。*
*もちろん金100トン1ゴールドで100万ゴールドや銀河をぽんと出せる世界神からすれば有って無い様なレベルの金額である事は言うまでもない。*
レイナは二束三文でも構わないと思っていたアンの魂が予想外に大化けした事に驚き目の前の現実が信じられず手が震えてしまった。
「端金(はしたがね)ですまんのう。ワシにはどうする事も出来ん問題が起こったのじゃ」
クレトは謝罪した。
*クレトも宇宙国家持ちでありその金額のあまりの低さに非常に申し訳無く思っていた。*
「いえ、全然大丈夫ですから。で、クレトさんにもどうする事も出来ない問題とは?」
>レイナはアンに恥を掻かせてざまぁしたかっただけだし石油を2400億バレルも買えるのは儲けものだった。
「いや、それがなぁ……」
>クレトはレイナに何が起こったのかを事細かに話したのだが――。
「そ、そうだったんですね……オークションなど色々とありがとうございました……」
>――事態のヤバさに気付き今度は恐怖心で手が震えてきてしまった。
9/9.「『』に応じてもらう!」
そしてあっという間にレイナに捜査機関の手が及んでしまった。
「女神レイナ、取り調べに応じてもらう!」
どうしてバレたの!?
「応じますが、わ、私は何もしていません……!」
かくしてレイナは取り調べに応じるため当局へと連れて行かれたのだった。
後書き
まぁ優秀な女神だったら勇者なんて要らないと考えてしまうのも無理は無いかと思います。
まぁレイナは科学の世界ですからね。
基本的には魔法の世界ではいくら女神が優秀でも戦えないのなら魔王やSランクの者達に対抗する為に勇者が必要になります。
ところが科学の世界には魔王は登場しませんし魔法が無いので肉体の強化にも限界が有りますからねぇ。
まぁレイナは優秀なので万が一に備え戦闘準備はしていますしもし生まれたのが魔法の世界だったとしても自分が強くなりさえすれば勇者を必要とはしていませんでした。