[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 1節 6話 (ざまぁ回) 盗賊団のお頭 – 最期 (ハダルの視点)


前書き

青年男性向け – ソフト – R18

第1節 地球の女神 (第1章 勇者の村)

第 6 / 15 話

約 3,300 字 – 5 場面 (各平均 約 660 字)


1/5.「『』起きてくだせぇ!」

「お頭(かしら)!起きてくだせぇ!」

「ヤバいですぜお頭!」

「う、うっせぇぞ……ん?何だよテメェら……」

ハダルは部下達の必死の声により目覚めてきて自分達が囲まれている事に気付いた。

「とうとう捕まっちまったな、ハダル」

「その声は……カリム……!テメェがどうしてここにいんだよ……!」

「俺はお前達がお縄に掛かったと聞いてここまで飛んできたんだよ」

クソっ……ナイフがねぇし縄もしっかり閉められててこれじゃ逃げられねぇ……。

「俺達をどうする気だカリム……」

「もう分かってるだろ。これから断罪するんだよ」

「は……!?テメェらは俺達がずっと守ってきてやってただろ……!」

「確かにこの町はあちこちから人がやってきて出来た町だしお前らの様な連中がいたおかげで少しは治安を守れていた面も有った」

カリムはカリムの町の裏社会を外からやってきた盗賊連中に牛耳(ぎゅうじ)られるぐらいなら昔馴染みのハダルに任せた方が良いと考えていた。


2/5.「だったらさっさと『』を解放しろよ……!」

「だろ……?だったらさっさと俺達を解放しろよ……!」

「それは駄目だ」

「は……?何でだよ……!」

「お前達はやり過ぎた」

「何をだ……?」

「数え切れない程暴力事件や殺人事件だけでなく行商人を襲ったりカツアゲしたり婦女暴行だってしてきただろ」

「俺達が襲ってたのは外の連中だろ……!」

「確かにお前達が盗賊行為をしていたのは外の連中に対してだがおかげで人通りや流通は減り俺達は迷惑してきたんだぞ?」

「知らねぇよ……!てか俺達が嫌だったら町から追い出しゃ良かっただろ……!俺達の存在はカリム公認だったんだよ……!もし俺達が有罪ってんならテメェらも同罪なんだよ……!」

「お前達が生かされていたのはただお前達と戦いになったら少なくない血が流れると思っていたからで別に公認だった訳ではないんだぞ」


3/5.「『』がテメェらに何をしたってんだよ……!」

「うるせぇ……!俺達がテメェらに何をしたってんだよ……!証拠を持ってこい……!証拠を……!」

ハダルは証拠が残らない様に徹底的に口封じしていたはずであり自信が有った。

「証拠って……お前達はまた婦女暴行をしようとしてこんな目に遭ってんだからな」

「あ……そういやあのアマ共はどこ行ったんだ……?」

ハダルは元凶であるあの女達の事が気になった。

「お前達を突き出した後どっかに行っちまったぞ」

「クソっ……!アイツらが全部わりぃんだよ……!」

「反省はしてないんだな?」

「反省だと……?冗談じゃねえぞ……!」

「更生の余地無しか。もうしょうが無いな。後はお前達に任せる」

カリムはハダル達が反省している様なら多少は減刑するつもりだったのだがその色が見られず諦めた。

「おい……!どこに行きやがる……!カリム……!」

「さようならハダル」

「待ってくれ……!カリム……!」

カリムはその場を後にした。


4/5.「俺の『』を返せ……!」

そして断罪が始まった。

「俺の親父を返せ……!」

「いてッ……!」

「よくも私のお姉ちゃんを……!死ねぇッ……!」

「痛ッ……!」

ハダル達に恨みを持つ者達がみな思い思いにハダル達に向けて投石を行った。

どうしてこうなっちまった……俺は何(なん)もわりぃ事してねぇだろ……!

ハダルは頭であり最も悪名が高く恨みを買っている為投石が集中しあっという間に顔から痣だらけになり腫れていった。

「金ならいくらでもやるぞ……!俺達を解放してくれ……!」

「チッ……!」

「おいお前……!俺達を解放したらお前を頭にしてやるよ……!だからな……?」

「クソォッ……!」

ハダルは出来る限りの事を試みたがその全ては無駄に終わってしまった。

「お頭ぁ……」

ハダルの部下達は空腹や怪我により次々に事切れていった。


5/5.「さすが『』だけは有るな」

そして1週間が経った頃――。

「まだ生きていたのか。さすが生命力だけは有るな」

――唯一生き残っていたハダルの前にカリムが現れた。

「俺だけでも助けてくれ……何でもする……もう盗賊もやめる……」

ハダルはカリムに命乞いした。

「もう遅いんだよ。――楽にしてやれ」

「ハッ!」

「何する気だよ……」

「今からのお前の首を斬るんだよ」

「や、やめてくれ……!た、頼む……!俺は悪くないんだ……!ただ生きていただけだ……!やめてくれ……!頼む……!」

ハダルが命乞いしている内にハダルの断頭の準備が整った。

「最後に言いたい事言って良いぞ」

「うるせぇ……!全員ぶっ殺してやる……!」

「お前が最後まで悪党で良かったよ……じゃあ、やって良いぞ……」

「ハッ!」

「頼む……!俺が悪かったからぁ……!ア゛ー!」

ついにザン!と剣が振り下ろされるとその場にドン!とハダルの首が落ちたのだった。

かくして盗賊団のお頭ハダルは最期(さいご)を迎えた。


後書き

ハダルは子供の頃から体格も大きく屈強だった為カリムの右腕の戦士長として活躍する未来も有ったはずでした。

しかし貧しかった為喧嘩になって負かした相手に金品を要求するとすんなりとお金が手に入ったという成功体験から徐々に悪党の道を歩み始めてしまいました。

そして潰されてしまわない為に似た様な連中を集めハダル団を結成しカリム達にも手を出せない程の大所帯(おおじょたい)になったのでした。

その結果大抵の事は暴力で実現出来る様になり歯止めが利かなくなったハダル達はついに地球最強の1号2号達に手を出してしまい命を落とす事になってしまったのでした。