[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 3節 3話 幼馴染の女神 – 子作りの後 (優美華の視点)
目次
Toggle前書き
青年男性向け – ソフト – R18
第3節 幼馴染 (第1章 勇者の村)
第 3 / 19 話
約 7,200 字 – 10 場面 (各平均 約 720 字)
1/10.「『』様、本日もお疲れ様でした」
優美華は裕太をティアラに会わせた後(あと)自室に帰ると――。
「優美華様、本日もお疲れ様でした。そしておめでとうございます」
――セーナから労いとお祝いの言葉を貰い――。
「ありがとう、セーナ。それにセーナも今日もお疲れ様」
――感謝を述べてソファに座ると正面にあるテーブルに紅茶とお菓子を配膳された。
「ありがたきお言葉です」
セーナは優美華に頭が上がらなかった。
「それじゃあセーナ、今から私とガールズトークに付き合ってくれる?」
優美華はセーナをガールズトークに誘った。
「はい。喜んで」
セーナはいつもの様に嬉しそうに自分の分の紅茶と茶菓子も用意し優美華の向かいに着席した。
「ところでセーナは最近の調子はどう?」
優美華はセーナに最近の調子を訊いた。
「私の調子はいつもと変わりありませんが」
セーナはそう言っているが優美華にはセーナに悩み事が有る事はお見通しで――。
「私には分かるんだよ?セーナ。本当の事を言って」
――セーナに悩みを打ち明けてほしかった。
そしてセーナは優美華には隠し事が出来ないなと思い――。
「その……天使如きの私も裕太殿との間にその……」
――やはり気になっていた事を話す事にした。
「良いの。そもそもこの竿姉妹同盟は種族は問わないしルールさえ守っていれば自由で当然産む順番にも決まりは無いんだから」
ティアラが座長を務める竿姉妹同盟には種族の決まりは無いしルールさえ守っていれば何の問題も無い為セーナとしては遠慮せずに裕太とおせっせしてほしかった。
「ありがとうございます!」
セーナは直近の悩みが解消され心がスッキリし天使である自分にも優しくしてくれている優美華達に感謝し――。
2/10.「例のシーツは貰えましたか?」
――ひと段落付いたところで――。
「ところで優美華様は例のシーツは貰えましたか?」
――気になっていた事を優美華に訊いてみた。
「うん。貰えたよ。これ」
優美華は収納空間から血の付いたシーツを取り出すとセーナに広げて見せた。
「おー!これはお見事ですね」
セーナは興味深そうに隅々まで見入っておりそのシーツの血の量は優美華が痛みに耐えた頑張りを物語っていた。
*セーナは芸術にも興味が有り芸術作品を興味深く見入る様な感覚も有った。*
「なんだか恥ずかしい……」
優美華はセーナに食い入る様に見られて恥ずかしさを覚えていた。
「それは失礼しました……」
セーナは主神である優美華に恥を掻かせてしまった事を申し訳無く思った。
「いいの。見せたのは私だから。ところでセーナはもう持ってるんじゃなかった?」
優美華は別にこの事でセーナに気に病んでほしいとは思っていなかった。
そしてセーナは魔法の世界出身の為優美華からすれば既に持っていてもおかしくはなかった為ふとその事を訊いてみた。
「私は元々銀河帝国出身で周囲は先進派というのも有りその様な風習とは無縁でしたので」
それはセーナにとっても異文化な代物(しろもの)だった。
*セーナの出身国は武闘派の魔王が惑星を統一しそして銀河へと領土を広げた魔帝の銀河帝国であり魔王が武闘派であるがゆえに肩身の狭い思いをしていたセーナと同種のヒューマン達はその差を埋める為何と蔑(さげす)まれようと機械知性(AIアンドロイド)と二人三脚で歩んできた為技術や教育を重(おも)んじ非効率や不公平な習慣は極力排除されていた結果セーナは蛮習とは無縁なのだった。*
3/10.「『』復元してあげるよ?」
「そう。でもセーナも欲しかったら処女膜復元してあげるよ?」
優美華はセーナが望むなら協力したかった。
「それは……お、お願いします……」
セーナは願ってもない申し出が優美華の口から出た為素直に協力を受け入れる事にした。
*処女膜の復元とは失った腕を復元するという様な上級回復魔法とは異なり若返りの成分を含んでいる魔法の為難易度が桁違いでありセーナがいくら武術に秀(ひい)で銀河帝国による技術フル装備の先進的強化訓練により古(いにしえ)の勇者と戦闘力が互角だとしても老化を遅らせる方法の事ならいざ知らず若返り的な回復魔法などとても操れるものではなくまさに「神業(かみわざ)」だった。*
「ところで痛みや傷口の具合の方は大丈夫なのですか?」
セーナは何より優美華の体調が心配だった。
「うん。まだ痛いけど大丈夫」
優美華は痛みに耐えていた。
「あの……僭越(せんえつ)ながら回復魔法などは使わないのですか?」
セーナは優美華に回復魔法や痛覚軽減の魔法などを使ってほしかった。
「特にこの科学の世界では普通の人は回復魔法なんて使えないもん。だから私だけ使うのはズルになっちゃうからね。私は使うつもりは無いよ」
4/10.「さすがです『』様」
優美華は自分だけ助かる様な不公平な事はしたくなかった。
「さすがです優美華様。高潔な女神様であられます」
セーナは優美華の姿勢に感心した。
「フフ。おだててくれてありがとう。それにこの痛みは裕太君との証だから。例え痛くても感じてたいっていうのも有るの」
優美華は痛みも裕太との思い出として大切にしたかった。
「素晴らしいお考えですね。しかしそのシーツは不思議です。これで殿方は喜ぶのでしょうか」
セーナにとってはやはりその異文化シーツのメリットがいまいち分からずにいた。
「少なくとも私は嬉しいよ。だってほら、思い出だもん」
優美華には写真や形見の様な形(かたち)の有る思い出の品の様に、それこそ結婚指輪や婚約指輪に準じ夫婦のお祝い品以上の大切な物の様に感じていた。
「なるほど。そう言われると多少は納得が出来ました」
セーナは軍人の家系に生まれ軍人として育った根っからの軍人であるが乙女の部分はもちろん有り思い出の物と言われるとある程度は意義性が腑に落ちたものの――。
――先進的かつ軍人なセーナはシーツの衛生面がどうとかではなくむしろなぜ女性の献身性や女性だけが痛んでいる様子、血が付いている程評価されるという女性の人権を無視した非合理性、そして女性が支配される側であるという様な違和感には依然として引っ掛かっているのだが――。
5/10.「『』に出来るのも大きいと思う」
――優美華はそのセーナの気持ちを汲んで――。
「私はこの人の為にこれだけ頑張ったのってアピールにもなるしいざという時に物的証拠に出来るのも大きいと思う」
――メリットを挙げてセーナが納得出来る様に手伝おうとした。
「言われてみるとそうですね。しかし血を流しているのが女性だけというのは……」
男社会と力こそ絶対の世界で成り上がってきたセーナはその異文化スーツに女性ばかりが辛い思いをするのは間違っていると感じているのだった。
「んー。このシーツで男性の頑張りが足りないって感じてるのなら……これ裕太君の精液だよ?」
優美華はそのシーツには裕太の体液も含まれている事は伝えておきたくてその箇所を指で指し示した。
「それは確かにそうですが男性だって初めて皮を剥いた時に出血する様になっており頑張れば頑張る程女性と同様に出血する様になっていれば対等だと思えるのですが……」
セーナにはそれくらいでないと納得出来ないのだった。
「んー。それは私も同感だけど処女膜はそもそも免疫機能の低い少女期の膣内を細菌感染から守るのが役割のものだからね」
優美華はセーナの気持ちは分かるものの処女膜の本来の目的を考えればこのありのままを受け入れざるを得なかった。
「そうでしたね。優美華様に苦慮(くりょ)させてしまい申し訳ございません」
セーナは諦めにも似た様な気持ちでやっと腑に落ちたのだが優美華の手を煩わせてしまったのが申し訳無かった。
「いや、いいのよ。考えるのは大事な事だから。それに私はセーナの考えが聞けて良かった」
優美華は記憶力が凄まじいとはいえそれと同等に思考力が優れているという訳でもアイデアだって振ってくる訳でもない為有意義な討論だと感じていた。
6/10.「『』様のご厚意、痛み入ります」
「優美華様のご厚意、痛み入ります」
セーナは優美華の優しさに感謝した。
「フフ。ところで裕太君がしばらく遠出(とおで)するそうなんだけどセーナは何か知ってる?」
優美華はついに本題を切り出した。
「え……遠出ですか……?」
セーナにとっても初耳で驚いた。
「うん。しばらく遠くに行くんだって。これにセーナの辞令も書いてあるよ」
優美華はセーナにもセーナの辞令を伝えておきたくて辞令書を取り出した。
「私の辞令ですか……?」
セーナは自分にも辞令が有る事に驚いた。
「うん。これ。ここに書いてある」
優美華は辞令書をセーナが読める様な向きでテーブルに置きその箇所を指で指し示した。
「あ……私が優美華様の共同代理の補佐も兼任するのですね」
セーナは妥当な人事だと思ったし自分に出来る事でホッとした。
「うん。よろしくね」
優美華はセーナを頼もしいと思っていた。
7/10.「もちろんです『』様!」
「もちろんです優美華様!しかし裕太殿はどちらへ行かれるのでしょうか……」
セーナは裕太がどこへ行こうとしているのか皆目(かいもく)見当が付かなかった。
「それが私も分からないの。私も同行させてほしいって言ったんだけど付いてっちゃ駄目なんだって」
優美華は自分が同行出来ない事としばらく会えなくなるのが悲しかった。
「それは初めての事態ですね……優美華様の同行も許されないとは……」
セーナは裕太が優美華の同行を断ってまで長期間何をしようとしているのか必死に考えた。
「裕太君は教えてくれなくて世界の為だって人助けだって言ってた」
優美華は裕太が言ってた事を話した。
「世界の為……人助けですか……」
セーナは裕太に自分1人で抱え込まないでほしかった。
「それにここに遺言まで書いてあるんだよ……?」
優美華は遺言の箇所を指差した。
「あ、本当に遺言書ですねこれ」
セーナは遺言の箇所が本当に有って驚いた。
8/10.「『』はこれをどう見る?」
「うん。それで……セーナはこれをどう見る?」
優美華はセーナの所見を伺った。
「私としては……これは……『世界の為』『人助け』というのはこの惑星の事とは思えません。裕太様は今まで通り執務室から慈善活動を行えますし特殊工作なら天使に任せれば良いのですから。そして遠出の理由を話せないという事はやはり異世界絡みの案件かと」
銀河帝国の艦隊提督や参謀長まで務めたセーナの勘がそう告げていた。
「私もそう思う。調べてほしい」
優美華も異世界絡みの可能性を疑っていた。
「はい。しかしアン殿など今も常に調査を続けておりますが全くその様な兆候は有りませんでした」
セーナはアン達を監視し続けているのだが裕太絡みの極秘プロジェクトの兆候は一切掴めていなかった。
「そうだよね……私も脳内を覗けなかったから全く分からなかった」
ティアラなどは当然としても優美華はアンや凛穂まで脳内を覗けなかった為一泡吹かされたという格好だった。
「優美華様が分からなかったのは仕方の無い事です。この失態の責は私達天使に有ります」
セーナは不意を突かれるという失態を犯してしまい優美華に申し訳無かった。
「いや、いいのよ。貴方達が優秀な事は私が一番知ってるもの」
優美華はセーナ達に非が有るとは全く思っていなかった。
「優美華様……!」
セーナは優美華の優しさに救われた。
9/10.「誰が『』と思う……?」
「それで……誰が怪しいと思う……?」
優美華は容疑者が誰だと思うかセーナに訊いた。
「『世界の為、人助け』ですから困っている惑星を所有している神かと思われますが私達が全く知らない部外者によるスカウトの可能性も有ります」
セーナとしては世界神であるティアラとカトラスは先ず問題無いと思っていて部外者による接触の可能性も捨て切れないと思っていた。
「そうだよね……」
優美華はセーナの考えに同意だった。
「しかしアン殿達は長らく商会を経営しており自力で勇者を買える程の潤沢な資金が有るはずです」
セーナはアンの交友関係や暗黒街で商会を経営している事も当然ながら把握していた。
「そうなんだよね……」
優美華も同感だった。
「ですので御学友などに頼まれたのだとしても代わりに別の勇者を送るはずです」
あれだけ楽しみに待ちわびていたアンが裕太を異世界に送るとは――。
「私もそう思う……」
――セーナも優美華も全く思えなかった。
「しかし思考ロックはいけません。敵が相手の裏を掻こうとするなど戦争や情報戦では日常茶飯事ですから」
セーナは当然ながら思考ロックの危険性や真実は時に意外なところに有るのを分かっていた。
「そうだよね……でもそもそも裕太君がそう決断したのってやっぱりアンさんと初めて会った時だよね?」
優美華は裕太が卒業し凛穂がシフトでアンと接触したあの日が最も怪しいと思っていた。
「私もそう思います。ですから最重要容疑者はやはりアン殿かと……」
セーナも一番怪しいのはアンだと思っていた。
「うん。私もそう思う。ずっと警戒されてると思ってたもん」
優美華はアンが容疑者なのだとしたら今までのアンによる警戒も裏に極秘プロジェクトが有ったのだとしたらと腑に落ちた。
10/10.「いかがいたしますか?」
「そうですね。とりあえず私達天使としましてはより一層の調査を行いたいと思うのですがいかがいたしますか?」
セーナとしては裕太が異世界に行ってしまうまで時間が無く踏み込んだ調査をする為にも優美華の許可が必要だった。
「うん。あともし異世界に送るんだとしたらこれって約束違反だから……」
優美華はアンが約束を破ろうとしているのだとしたら許せなくて――。
「……その日が来てしまうのですか……?」
セーナはゴクリと息を呑んだ。
「うん……戦争だよ」
――武力行使の用意を始めた。
*ちなみに優美華とアンが戦争になった場合クロノスにより集められたハイランク人材達と凛穂が選りすぐった高ランク戦闘要員達が衝突する事になりどちらも手段を選ばなければ最悪の場合地球が焼け野原になる可能性が有った。*
*またアン陣営はアンが散財したものの凛穂によるへそくりが有り資金面では問題が無い。*
*(わたくしはこの争いを……止めません……!)*
結局アベルを独り占めしたいティアラもライバルが潰し合う事は歓迎しておりその為自分の一人勝ちや あわよくばでアベルと秘密裏に駆け落ちしアベルを追跡出来ない様にしてから田舎の星でひっそりと暮らすというスローライフの夢を諦めてはいなかった。
まぁそもそもティアラは元々は辺鄙(へんぴ)な星の普通の女神、いや、だいぶ我がままで人との付き合い方が壊滅している残念な女神だったのだがアベルを世界を救う為だと大義名分を掲げこき使って世界神まで倒したおかげで奇跡的な下剋上を果たし「世界一の女神」になりたいという稚拙(ちせつ)な願いが叶ったものの「隣の芝生は青く見える」とはよく言ったものでティアラが世界神となり激務の日々に追われている一方で資源も初期設定ながら、つまり貧乏ながらも勇者と幸せに暮らしている超格下の女神も大勢いる中でその幸せっぷりを見せられ続け時々カトラスと酒を煽りながら愚痴る毎日を送り続けその時には既に最愛のアベルを失いアベルの転生も全く確認出来ず生きる気力を無くし数少ない取柄(とりえ)だった根拠の無い元気さや向こう見ずな我がままっぷりも失った、つまりすっかり性格が丸くなっていたティアラは「私はこんなに大変なのに自分達だけ幸せでズルい……!」と感じていた超格下の女神達がしているような勇者との甘々なスローライフをずっと夢に見ていたのだった。
そしてその為なら親友のカトラスや可愛がっているアンを裏切る事など造作も無かった。
やはりティアラも自分の幸せが1番大事だったのだ。
かくして優美華もアンもこの冷戦ではティアラの支援は受けられないのだった。
*(私としては異世界ルートが好ましいわね)*
後書き
もし戦争になった場合優美華はアンを殺す覚悟が出来ています。
もちろん優美華の手を汚す訳にはいかない為その時がくればセーナがアンを殺すつもりでいます。
ちなみに戦力で言えば豊富な資金力とマナリスやレーナから援軍が望めるアンの方が9:1で優位ですが優美華陣営が電撃戦を行えば圧倒的に優美華陣営の優位であり長期化すればする程アンが優勢になりやがて総力戦でアンが勝つという感じです。
しかし地上の民からすれば神々の争いなど大惨事以外の何ものでも無いですね。