[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 2節 28話 地球の女神 – 裕太 (アンの視点)
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ついに今節最終話です!
青年男性向け – ソフト – R18
第2節 異世界の女神 (第1章 勇者の村)
第 28 / 28 話
約 6,900 字 – 8 場面 (各平均 約 860 字)
1/8.「『』を取り戻したわよ!」
「みんな!ユウタの魂を取り戻したわよ!ママが見付けてきてくれたの!」
アンはとても嬉しそうにしながらユウタの魂が入っている人形型の容器を両手で皆に見える様に大きく掲(かか)げた。
*アンはアベルの事を知らない為ティアラはその魂の輝きを見られてしまう事で気付かれてしまわない様にとメソポタミア時代の姿の容器に入れてアンに渡した。*
「おめでとうございます!アン様!」
アンの天使達は喜び拍手を送っていたが――。
「やりましたね、アン様」
(遅過ぎたぐらいですが)
1号も嬉しいし拍手を送ってはいるものの独自の調査で今ではアンの親友である女神レイナがユウタの魂を持ち込んだ闇オークションの支配人アーベルが持ち逃げした説を耳にしそのアーベルが復帰し口を閉ざしている事でティアラ達が何(なに)か関わっているのだろうと見ているのだがそれでもユウタは帰ってこず結局帰ってきたものの相当の年月が経っている為ティアラ達に不信感は抱(いだ)いていた。
かくしてアンはユウタの魂を取り戻し――。
――そして1号は――。
「それではアン様、今後はどうなさりますか?」
――アンに今後どうするかを訊いた。
「もちろん転生させてあげるに決まってるじゃないの!」
アンは椅子に座って寛(くつろ)ぎながら今後の展望(てんぼう)を話した。
「承知しました。それではどちらに転生させますか?」
1号はアンに理想の転生先を訊いた。
「そうね~。あんまり苦労させたくないから先進国が良い。あと家も首都圏ね!田舎じゃ私が使いづらいし。あと出来れば郊外が良い!私雑々(ざつざつ)してるとこ嫌いだし。で、あとは普通の中流の家だけどなんか雑な感じでお願い。あまり仲良くない感じで。そしたら私の付け入る隙が生まれるから」
アンは1号に自分の要望を伝えた。
「分かりました。その様に手配します」
1号もアンのチョイスは名案だと思っていて快(こころよ)く承(うけたまわ)った。
かくしてユウタは日本に転生する事になった。
2/8.「『』様の件ですが」
そして1号は――。
「ところでアン様、ユウタ様の件ですが」
――アンに名前についてを訊こうとした。
「ん?何(なん)かあったの?」
アンは何(なに)か問題でも起こったのかと思った。
「いえ、何も問題は有りませんが名前をどうなさるのかと思いまして」
1号はアンがユウタにどの様な名前を付けたいのか気になっていた。
「え?名前って……『ユウタ』に決まってるじゃないの」
アンは1号がどうして今更当たり前の事を訊いてきたのか不思議でしょうがなかった。
「それは分かっておりますが日本語には漢字や平仮名(ひらがな)、片仮名(カタカナ)が有りますからどれをお使いになるのか、また漢字の場合どの様な漢字をお使いになるのかを知りたく存(ぞん)じます」
1号はアンがユウタに日本語でどの様な名前を付けたいのかが知りたかった。
「あ!そうだったわね!全く考えて無かったわ……」
日本に転生させる事を決断したのはアンなのだがアンは漢字の事などをすっかり忘れていた。
「一応候補は考えておりますのでこちらをご覧ください」
1号はアンがノープランだったりするのはもう慣れており候補一覧を見せた。
「ん~。まぁ私は読みが「ユウタ」なら平仮名でも片仮名でもどれでもいいんだけど、日本に転生させてあげたんだしせっかくだから漢字を使ってあげたいわよね」
アンは候補を見ながらどうしたものかと考えた。
「そうですね。私もそう思います」
1号も漢字が良いと思っていた。
そして1号はいつもユウタの話になるとアンは暗い表情でどこか元気が無い様な感じだったのだが取り戻してからというものすっかりその話題になっても元気でいる為安堵(あんど)した。
3/8.「あ!これなんかどう?」
「あ!これなんかどう?」
アンは気になったのを指差した。
「良いと思いますが勇敢(ゆうかん)さが増して今まで以上に危険な事にどんどん首を突っ込まれてしまうかもしれませんね」
1号は冗談(じょうだん)を言ってみた。
「あ!そうかも!それは危険だから駄目よ!」
アンはユウタにこれ以上勇敢になられたら困る為『勇』を使うのは却下した。
*この世界は科学の世界でありその世界の女神はティアラである為当然ティアラが考案したルールが適用されておりその中には性格が名前の影響を受けるという名前補正というものが若干有り性格が影響を受ける以上名前といえど無視出来るものではなかった。*
*またもちろんその名前補正はティアラ自身がアベルから意味の有る名前を貰っている為我が子に意味の有る名前を授けたいという両親の願いを叶えたいという純粋な気持ちから考案されたものだった。*
「じゃあ『遊』も却下ね。遊び人になられたら嫌だもん。で、『優』も駄目ね。これ以上ユウタが優しくなっちゃったら私が駄目神(だめがみ)になっちゃう。で、『結』も駄目ね。私以外と結ばれたら嫌だもん」
アンは嫌な漢字を除外していった。
「それでは『裕』はいかがですか?『裕』とは『ゆたか』、『ゆとりが有る』、『物が満ち足りている』、『裕福・富裕・余裕』、『ひろい』、『心が広い』、『心が広くゆったりしていておおらかという意味の寛裕(かんゆう)』といった意味が有ります」
1号は本命を言った。
「それよ!それにしましょうよ!私は馬鹿だしおっちょこちょいだから広い心で許して受け止めてほしいの!」
アンはもう自分でもいつか間違いを犯(おか)してしまう事が分かっているし間違いを犯さない自信も無い為万が一自分が大失敗をしてしまった時でもアンの事を嫌わないで許してくれるユウタでいてほしかった。
*アンは貯金が出来ず稼ぎが入ればすぐに浪費し詐欺(さぎ)に引っ掛かったりギャンブルで磨(す)ったり投資で失敗したりオークションで勝負するのが好きで競合(きょうごう)に釣られて高額で落札してしまったりと商会や女神本人の金庫番でもある1号には金銭的にとても痛い存在だった。*
*しかしアンはお金が有るとサボってしまう為むしろ無い方が働いてくれる為もはやお金とかどうでもいいマナリスやレイナにとってはむしろその方が都合が良かった。*
「承知しました」
1号はアンが本命を選んでくれて安堵(あんど)した。
そしてアンは――。
「んじゃ早速念じるわ!名前を裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ裕太にしろ。読みをひろたにしたら殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
――などと念じ始めたのだが――。
「アン様……!お、恐ろし過ぎます……!」
――過去の経験によるものなのかその反省なのかはたまた成長なのか手段の選ばなさにも似た恐ろしさが増していて1号は恐怖した。
かくしてアンはユウタの名前の漢字を決めその名前を祈(いの)りで無理矢理ねじ込んだ。
*これもティアラが考案したもので回数制限や歪(ゆが)められる程度にも限度が有るのだがその気持ちが強ければ強い程ある程度叶う様になっている。*
*これももちろんリセット防止策であり世界神フリード時代には当然無かったものなのだが自分が世界神になったからこそ導入した神々への親切サポートだった。*
4/8.「これからが『』ですね」
そして裕太が産まれた。
「これからが楽しみですね」
アンと1号は外から病室の中を眺めている。
「ええ、そうね……」
アンはどこか浮かない顔をしている。
「アン様ももう少し近くまで見に行かれますか?」
1号は親切心でアンにそう提案した。
「私は別にいいわ……」
アンは遠慮(えんりょ)していた。
そして1号はそう言われるとさすがに――。
「アン様、どうして悲しそうなのですか?」
――アンがどうしてそんなに悲しそうな態度でいるのか訊かずにはいられなかった。
「だって……。私にはその資格が無いのよ……。だって裕太は私のせいで死んだのよ……?それで魂が誘拐されて異世界で大変な思いをしてきたのよ……?そんな私が彼においそれと会いに行ける訳が無いじゃない……」
アンは自分が裕太に会う資格は無いと感じていた。
「アン様、彼が暗殺されたのはアン様のせいではありません。レイナ様がした事です。それに彼はまだ赤ん坊ではありませんか。近くまで見に行くだけですよ?」
1号は決してアンのせいだとは……まぁレイナを怒らせたのはアンだしアンにも多少の責任は有ると思っているのだがもちろん暗殺と誘拐が起こってしまったのは自分達に非(ひ)が有ると思っていてしかしそれでも凶行(きょうこう)したのはレイナであると分かっておりそもそもまだ裕太はまだ赤ん坊の為会ったところで何(なに)か文句を言われる訳でもないのにと思っている。
「それでも駄目よ……。私からしたら同じ事よ……。とりあえず今は駄目なの……」
今のアンには1号の提案を受け入れられる程の心の余裕が無かった。
「アン様……。そうですか……」
(どうすればアン様は彼に会いに行かれるようになるのでしょうか……)
1号はアンの判断を受け入れるしか無かった。
「とりあえず1号は私の代わりに彼の事を見守っててちょうだい。その為なら人手(ひとで)も物資も何でも好きなようにして良いわ」
護衛は1号を付けておけば大丈夫でしょ。
暗殺も誘拐ももうあんな悲しい思いをするのももうたくさんなのよ。
アンは1号を裕太の護衛に付ければもう暗殺や誘拐といった事は起こらないだろうと思っていた。
「畏まりました。その命(めい)謹(つつし)んでお受けいたします」
1号は丁重(ていちょう)に引き受けた。
「んじゃ、頼んだわよ」
アンはそう言うとテレポートでその場を去っていった。
かくしてアンは1号に裕太の護衛を任せた。
5/8.「ご一緒に『』になられてはみませんか?」
そして1号は中々(なかなか)裕太に会いに行こうとしないアンを見かねてある事を提案しに来た。
「アン様、裕太様の幼馴染としてご一緒にお育ちになられてはみませんか?」
1号はアンに幼馴染ルートを提案した。
「……。それって私が裕太に嘘を吐(つ)く事にならない……?私が裕太を騙してるみたいでなんか嫌よ……」
アンは1号が提案した幼馴染ルートは自分が裕太に嘘を吐いている様で受け入れ難(がた)かった。
「ですがアン様はどの様にして裕太様とお出会いになられるおつもりなのですか?」
しかし1号はアンが幼馴染ルートが嫌なのなら他にどの様な出会い方を考えているのか知りたかった。
「私は……。それはちゃんと考えてるわよ……。私は女神だもの……。だから裕太を勇者にする時かしら……?それが私の中でベストなのよ」
アンは女神として裕太を勇者に任命する時に会いに行きたかった。
「それはいつになられるのですか?」
1号はアンの出会い方がいつになるのかを知りたかった。
しかしアンは――。
「それは考えてなかったわ……多分大学を卒業した時かしら……!」
――そこまでは深く考えていなかったし会うなら裕太が大学を卒業した時かなと思いつつもあの頃から色々と成長したアンだったがやはり奥手(おくて)な性格は直っていなかった。
(はい……!?)
1号はアンの考え方の甘さに心の中で突っ込んだ。
「アン様、僭越ながら裕太様はその頃にはご結婚なさってしまっているかもしれませんよ?」
そしてアンに現実を告(つ)げた。
「……!そんなの絶対駄目よ……!裕太が結婚していいのは私だけなの……!」
アンは1号が言った事にハッとして危機感を募(つの)らせた。
6/8.「『』に移さなければなりませんよ」
「でしたらもっと早くに行動に移さなければなりませんよ」
1号はアンにもっと早くから行動を起こしてほしかった。
「そうは言われても……。高校生は駄目でしょ……!」
アンは妙(みょう)に真面目なところが有りその道徳観や倫理観が1号の案を拒否していた。
(アン様はこういう時だけ妙に育ちの良いお嬢様のような事をおっしゃいます……)
「いえ、高校生で本格的に恋愛が始まる方も多いですし、パートナーが高校時代の同級生など学生結婚も珍しくないのですよ。それに現在は一夫多妻制ではなく結婚できる相手はお1人だけなのですよ」
1号はアンにアンが裕太に会いに行く頃には裕太に既にパートナーがいて、という様な状況にはなってほしくなかった。
「ま、まずいわ……!1号が阻止してよ……!」
アンは1号に自分の思い通りになる様にどうにかしてほしかった。
「アン様……。私に裕太様の自由恋愛を邪魔しろとおっしゃっているのですか……?」
1号は天使の自分が女神の命令といえど地上の民の自由恋愛を妨害する様な事はしたくなかった。
そして昔のアンならこういう時「当然よ!」と言い放っていたのだが今はある程度常識も備わっているのでそう言い放てずにいた。
また今のアンは急がなければいけないと分かっているものの出会い方は心の中で「自分が裕太の初めてになりたいが出会うのは大学卒業後が良い」というジレンマに苛(さいな)まれていた。
「……。ならせめてそれまで子供が出来ない様にして。その時がきたら私も女として頑張るから。それで駄目だったら諦めるから……。裕太はきっと私なんかより他の女と出会った方が幸せになれるのかもしれないし……。でもそれまでは1号もみんな裕太に手出しは無用よ……?もちろんこれはニンにも言っといてね」
アンはせめて自分が裕太に会いに行くまでは裕太に子供がいない様にしたかったし他の天使達に先を越されたくも無かった。
(アン様……)
1号は自分だけズル過ぎると思いながらも――。
「畏まりました。アン様のご成功をお祈りします」
――アンの天使としてアンの成功を祈った。
そう……。
「そうね。祈っててちょうだい」
アンはポツリと流した一粒(ひとつぶ)の涙を指で拭(ぬぐ)うと1号に微笑(ほほえ)んでそう言った。
かくしてアンは裕太が大学を卒業するまでは会いに行かない事を決意した。
7/8.「やっと『』に会える日が来たわ!」
そしてアンの祈りが通じたのか裕太は裕太で無数の誘惑を跳ね除けいつかアンに会える時まで独身を貫いておりついにその日が来た。
「やっと裕太に会える日が来たわ!ず~っと待ち望んでいた日が来たのよ!」
アンは幸せな朝を迎えていた。
「はい、そうですね。ところでアン様はどの様に裕太様と接触するつもりですか?」
凛穂はアンがどの様にして裕太に会うつもりなのか知っておきたかった。
「もちろん裕太の執務室にテレポートするのよ!それが1番でしょ!」
アンはそれが名案だと思っていた。
「承知しました。それではお出し物は何にしますか?」
凛穂はアンに出し物は何が良いか訊いた。
「そうね~。コーラとショートケーキは出せるのかしら?私今炭酸飲料と甘い物がマイブームなのよね~!」
アンはコーラとショートケーキの出し物が欲しかった。
*アンはやっと地球でも美味しい物が食べられる様になった事で地球産で満喫している。*
「はい、可能です」
凛穂はもちろんそれなら簡単に出せる。
「じゃあ決まりね!それでお願い!」
アンは自分の好物を出してもらえると分かって満足していた。
「承知しました。アン様の成功を祈ります」
凛穂はお辞儀しアンの成功を祈った。
「ええ!祈っててちょうだい!――でもなんかこのやり取り前にもした事がある気がするんだけど!」
アンはやる気がみなぎっていたがデジャヴに陥(おちい)った。
「フフ、そうですね」
凛穂も既視感が有って笑った。
「アハハハ!」
そしてアンも笑った。
かくしてアンは裕太に会いに行く決意をした。
8/8.「私は『』よ!」
そしてその時が来て――。
(刺激的で俺がわくわく出来て俺にしか出来ない様な困難な何かや俺が心の底からやりたいと思える様な事が他に無いものだろうか?)
――と裕太が洋館の執務室で執務椅子に座りながら物思いに耽(ふけ)っている時にアンは裕太の執務室にテレポートし裕太の前に現れ――。
「私は地球の女神よ!大澤 裕太さん!貴方にお願いしたい事が――」
とアンが言い掛けた時(とき)突然(とつぜん)場が止まり――。
「ならボクが君が恋焦(こいこ)がれた刺激的な世界に、デスゲームの世界に誘(いざな)ってあげるよ」
――別の存在が現れた。
「ちょ、ちょっと……!アンタ一体誰なのよ……!」
アンはその存在に怒鳴(どな)った。
「フフ、早い者勝ちだよ。じゃ、ちょっとばかり君の勇者、アベルを借りてくね」
別の存在はそう言って裕太をテレポートで連れ去ってしまった。
「ちょ、ちょっと……!アベルって誰なのよ……!彼はアベルじゃなくて裕太なんだけどおおおおお……!」
かくしてアンは裕太に会う前に突如(とつじょ)現れた謎の存在に裕太を誘拐されてしまったのだった。
後書き
アン達は今も仕事を続けていますがアンは地球の娯楽でマナリスは自分の星の難易度試験と仕上げでレイナは自分の星が既に宇宙進出を果たしており宇宙戦争で忙しく控え目になっています。
また凛穂も裕太に会う前と後(あと)ではアンへの口調が変わっている事が分かります(笑)
そして突如現れた謎の存在については第3節で明らかになります(笑)