[R18] 女性を愛する天才の俺様、異世界を救う (JP) – 1章 1節 4話 メイドの女天使 回想(凛穂の視点)

前書き

R18

第1節 地球の女神(第1章 勇者の村)

第 4 / 12 話

<私は>

 私は裕太様にお仕えするメイドの凛穂です。

 しかしその正体は地球の女神アン様にお仕えする天使なのです。

 私はアン様に命じられ裕太様の事を産まれてからずっと見守ってきました。

 私が裕太様と初めて言葉を交わしたのはメイドの面接の時でしたね。

 裕太様がメイドの求人を出されたのでこれ幸いにと私は応募したのです。

 まぁ裕太様の命を守るだけなら私がわざわざ裕太様にお仕えするメイドになる必要なんて無いのです。

<裕太様のメイドに>

 しかし私は裕太様のメイドになると決めました。

 というのも裕太様の人格が素晴らしかったからです。

 私はこの星の創成期からいる天使です。

 ですからこの星で今までに無数の人を見てきました。

 その為私には人を見る目が有ると自負しています。

 それに私は裕太様をずっと見てきたのです。

 私からすれば裕太様の行動は驚愕の一言です。

<彼は>

 彼は高校までずっと生徒会長でした。

 彼が生徒会長になったのは自分がリーダーになる事で学校から虐めを無くす為でした。

 彼が進学して早々に勉強をしていたのも勉強に付いていけない子達が出てきた時に自分が勉強を教えられるようにしていたからです。

 高校では腐敗し権力欲しさにわざわざ留年までしていた女性の生徒会長を告発し長年続いていた負の連鎖を断ち切ったのです。

 素晴らしいの一言です。

 元女生徒会長は自分が生徒会長で居続ける為に生徒会に集まっていた生徒達を誰一人正式な生徒会員にはしていませんでした。

 生徒会長自身だけが正式な生徒会員でいれば自分で自分を生徒会長に指名し続ける事が出来るからです。

 そしてその元生徒会長は自分で一切仕事をせずに生徒会室に家電製品を一式揃え室内を散らかし放題にし女子のクラブの子達と癒着し便宜を図り生徒会の活動中であるにも関わらず接待を受け会話し気が向けばカードゲームをしていました。

<見事に生徒会長に>

 彼はその様な彼女の腐敗した生徒会体制を終わらせ生徒会に集まっていた生徒達と皆正式な生徒会員にしそのうえで正式に生徒会長指名の多数決を行い見事に生徒会長になり生徒会の誰もがやりたい職に就けるようにしたのです。

 そして彼は彼女がしていた女子のクラブへの予算や校内の場所割りといった厚遇も終わらせ男女を平等にしました。

 さらに彼は不登校になった彼女にすら優しさを見せ家の方向が違うにも関わらず毎日通って説得し続けその甲斐もあり改心させました。

 そしてなんと彼は彼女を副生徒会長に抜擢したのです。

 彼は彼女にセカンドチャンスを与えその後三年間学校に平和な生徒会体制をもたらしました。

 私は生徒会長になった彼が「今度は権力を濫用し腐敗してしまうのではないか?」と危惧しましたが決してその様な事にはなりませんでした。

 彼は生徒会費を一切着服せずその全額を正しく使ったのです。

 彼はいじめの予兆があればそれを阻止し勉強が分からない生徒には優しくとことん勉強を教えお金に困っている生徒やその家族の為に自ら会社まで作り雇っていたのです。

 それも何ら見返りを求めず何らの下心も無く、です。

<私は天使として>

 私は天使としてこの星の守護者の一角として人々の営みへの介入は最小限にしたいと考えていましたが、私だってこの星やそこに住む人々の幸せを願っているので彼の活動を助けたいと常々思っていました。

 しかし私は常に彼の傍にいなければならなかったので彼の傍にいられる秘書か使用人にと考えていましたが、彼は秘書の仕事を求職者に割り振ってしまいました。

 そもそも私は彼からすればどこの馬の骨とも分からない存在です。

 その為私は秘書に立候補する勇気が有りませんでした。

 もし私が立候補して選ばれたとしても、それは「求職者から仕事を奪ってしまう事に繋がってしまうのではないか?」と思うと心苦しかったのもあります。

 しかしその様な時に彼がついに洋館を買い使用人の求人が出たのを機にこれ幸いにと応募したのです。

<私は……異端者>

 私は……この社会から見れば異端者です。

 何故なら住所が無く電話番号も無く保護者もいませんし、いえ強いて言うなら保護者はおりそれは女神アン様なのですが天使の私は頼ってはいけない為いないも同然ですし学歴も無く収入も無く所得税なども払っていないのです。

 私自身この社会に馴染もうと努力していた時は有りました。

 何度も有りました。

 私が働いて稼いだお金を全額困っている人に寄付したいと何度も思いました。

 しかし信用も身分もも証明出来ない私はこの社会で職に就く事すら出来なかったのです。

 その事をアン様に何度も相談しましたが「どうしたら良いかなんて私に分かる訳が無いじゃない!自分で考えて!身分ならそうね……適当に作るか盗んじゃいなさい!」といった具合にまともに解決策も下さいませんでした。

 そして職を探し続けていた私を風俗に紹介しようとしたり「愛人になるなら雇ってやる」などと提案してきた方々もいましたが私はもちろんその様な申し出を全て断ってきました。

 ですから私にはお金が無いのです。

 誰かを社会的に助ける力が無いのです。

<どこの馬の骨とも分からない私を>

 その様などこの馬の骨とも分からない私を彼は即断で雇ってくださいました。

 さらに彼は私に「使用人でなくても良いのですよ?」と「好きな仕事をして良いのですよ?」と仕事を選ばせてくださっただけでなく大学院までの学費や勉強のサポートまでしてくださるとお約束してくださったのです。

 そして名前が無かった私に「凛穂」という名前まで下さったのです。

 その名前の由来は「私が凛々しく実るほど頭を垂れる稲穂のように謙虚だから」だとおっしゃっていましたね。

 名前を下さった経験も褒められた経験もあまり無い私にとっては大変嬉しかったです。

 正直私は彼を産まれた時から見守ってきているので私は彼の母親のような気持ちで彼を見ていました。

 その感慨深さがあるだけでなく私は今まで見る事しか出来なかった彼の優しさに直接触れた事で改めて大変彼の人柄に感激したのです。

<分かっていました>

 私は分かっていました。

 いつか私も彼に口説かれるのだろうと。

 しかし私は彼に口説かれたくなかった訳ではありません。

 私は心の底から口説いてきてほしいと願っていたのです。

 何故なら私が彼に口説いてもらえなければ私は彼が口説いてきた女性達のような魅力が無いのだろう、ときっと落ち込んでしまうと分かっていたからです。

 その様な私を……彼は口説いてくださいました。

 とても嬉しかったです。

 少なくとも私は彼にとって魅力の無い女ではなかったのです。

<彼は私の正体を知りません>

 彼は私が彼が生まれた時から見守ってきている事も私の正体が天使である事も知りません。

 その背徳感や彼を騙し続けている事を申し訳無く思いながらも私は彼のメイドとして日々人を助けている彼の私生活を支えられているこの生活を謳歌していました。

 彼は私が助けたい方々を力を持たない私の代わりに力を行使して助けてくださっています。

 そしてその様な私を一人の女として愛してくださっているのです。

<愛しています>

 私はその様な優しい彼を愛しています。

 その様な彼は正真正銘の天才ですが、しかしどうも女の勘の鋭さについては見誤っているようです。

 私は彼には他に女がたくさんいる事だって知っています。

 彼は気づかれていないつもりですが、私も含めて皆「他にも女性がいるのだろう」と思いながらや顔見知りになって妥協し受け入れているのです。

 しかし私はそれでも良いのです。

 女性のお友達もたくさん出来たのですから。

 そして私は彼からのお誘いを断り続ける事が心苦しかったのです。

 それでも私はこの様な生活が幸せでした。

<アン様がついに>

 しかし私がお仕えしているアン様がついに動き出したのです。

 アン様は彼を勇者にしてしまいました。

 そして彼を危険な異世界に行かせようとしているのです。

 アン様にお仕えする天使である私にはそれを止められません。

 あの世界は……確かに助けるには彼を行かせるしかないのでしょう……。

 しかし私には何か裏があるように思えてならないのです……。

 アン様は彼の前では猫を被っていましたが、いえ、あれが素なのでしょうが……。

 アン様には目的の為なら何でもやる一面があるのです……。

 私がアン様により彼との性交渉が解禁されたのは大変嬉しいのですが……私には彼の事が心配で無事を祈る事しか出来ず……それが大変もどかしいのです……。

 裕太様、今までの言動を鑑みれば貴方様は正しく勇者様にございます……そして一人の女として私を愛してくださっている貴方様を私も愛しております……どうかご無事とお早い帰還をお祈り申し上げます……。

 かくして凛穂もメイドの仕事をしながら裕太の無事を祈り帰還を待っていたのだった。

後書き

私は元々大正ロマン寄りの文章を好んでいまして作中の「何故なら私が彼に口説いてもらえなければ、私は彼が口説いてきた女性達のような魅力が無いのだろうと、きっと落ち込んでしまうと分かっていたからです。」くらいは読点を使っていたのですが、まぁこの文章はこれ以上読点は削る必要が無いかと思いそのままにしているのですが、全体的に大分読点を削りました。

当初なろうに投稿していた時は読点を、例えば「彼は、そのような彼女の腐敗した生徒会体制を終わらせ、生徒会に集まっていた生徒達と皆正式な生徒会員にし、そのうえで正式に生徒会長指名の多数決を行い、見事に生徒会長になり、生徒会の誰もがやりたい職に就けるようにしたのです。」というようにめちゃくちゃ使っていたのですが、今ではこの文章で言えば読点は一つも使っていないですからね。

そのような訳で人は進化するものだなとつくづく思います。

話は変わりますが、作中の裕太の行動に下心が無かったのは本当です。

何ででしょうかねぇ。まぁ根っからの勇者タイプな性格なのでしょう。

それにしても いやぁ、あの生徒会長は本当にえげつなかったです。

わざわざ留年までしてる生徒会長なんて他にいるんですかね?

年間で100万円を自由に使える権力は中々手放せなかったのでしょうかねぇ。

腐敗は尋常じゃなく生徒会室には家電製品まで一式揃っていましたからね(笑)

なんせトースターまであったんですから(笑笑笑)

ちなみに生徒会長がしていたカードゲームはヴァンガードです。

そしてちなみにその女生徒会長を倒した方法は校長先生への通報でした。

「全員の生徒会員資格を認めてほしい」と「生徒会内で公平に多数決をさせてほしい」と願い出て全員の生徒会員資格を認めてもらった後多数決で生徒会長不信任案を可決して生徒会長の座をはく奪し生徒会長指名選挙を経て正々堂々と私が生徒会長になったのです。

まるで構成員としての資格と選挙を行う資格を得る為の公民権運動と多数決により代表者を決める民主主義選挙だなと思います。

まぁ、少なくとも母校では二度とこの様な事は起こらないと思います。

というのも教育委員会にもそういう腐敗が起こり得る事を報告し二度と同じような事が起こらないようにと校則もがっちりと作っておきましたからね。

そしてもちろん彼女にもお仕置きを執行しました。

彼女は私がSMプレイを覚える良い被検体になってくれたものです(にんまり)