[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 2節 22話 地球の女神 – アンマナレイ商会 (アンの視点)
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青年男性向け – ソフト – R18
第2節 異世界の女神 (第1章 勇者の村)
第 22 / 28 話
約 7,700 字 – 8 場面 (各平均 約 960 字)
1/8.「ねぇ、これからどうする?」
アン達はクレトのお店を出た後――。
「ねぇ、これからどうする?」
――アンは2人にこれからどうするか訊いた。
「わたくしは作戦会議を提案します!」
マナリスは作戦会議という名のガールズトークがしてみたかった。
「良いわね!じゃあ……リスん家(ち)が良いかな……?」
アンは作戦会議に賛成だったがするなら一番文明が発展していて美味しい物が食べられそうなレイナの家でしたかった。
「……分かりました。私の家でしましょう」
レイナはアンの意図に気付いていたが自分は罪人だという自覚が有るし罪滅ぼしする為にも拒否する理由は無かった。
「やったわ!」
アンは心底喜んだ。
「良かったですね!」
マナリスはアンが喜んでいるのが嬉しかった。
かくしてアン達はレイナの家にお邪魔する事にした。
2/8.「でどうするの?」
そしてアン達はレイナの家で甘味や飲み物を頂きながら――。
「ねぇ、でどうするの?」
――アンは2人にこれからどうするか訊いた。
「あの商品達を買う為にもクレトさんがおっしゃっていた様にお金を稼ぐ必要が有るのですよね」
マナリスは目的を共有しようとした。
「そうなのよね……300万、だっけ……」
アンはお金の事についてはそれなりに記憶力を発揮している。
*金100トンを1ゴールドで300万ゴールドであり1000ゴールドが1000兆円であるから300京円に相当する。*
「はい。300万ゴールドでしたね。宇宙国家を運営している様な神々でなければ中々用意しづらい金額です」
マナリスもその金額の高さを理解していた。
「てか宇宙国家の神ってそんなに凄いの?」
アンは上位存在の神の事がよく分かっていなかった。
「当たり前です!銀河では100万星系で伯国や伯爵領、1億星系でも公国や公爵領なんですよ?1兆星系の銀河で100億星系の領地を持ってやっと立派な銀河帝国なんです!」
レイナは自分の星をスーパーアースにしたいという野望を持っているがもちろん銀河帝国の建国やゆくゆくは銀河統一を目指しており興奮しながら熱弁した。
「あっそう。大航海時代もまだの私には関係無い話よ」
アンはレイナの談話室に飾ってある大きな船の事を引き合いに出しながら不貞腐(ふてくさ)れた。
「ま、わたくしもまだですから、ね?」
マナリスはアンを慰(なぐさ)めようとした。
「リセット魔に言われたくないわよ。マナリスなんかあっという間に中世まで進められるでしょ」
アンは本来やれば出来る子であるマナリスにも言われたくなかったし実際ダンジョンから産出される物を使えば中世まではすぐだった。
*「リセット」とはある時点から世界をやり直す事。*
「あの、マナリスさんは『リセット』をしているんですか?」
レイナはマナリスが「リセット」をしていると聞いて驚き事実かどうか確かめたかった。
「はい。しています」
マナリスは別に隠したい事ではなかったからレイナにも明かした。
「どうしてですか?」
レイナは「リセット」をする理由が分からなかった。
「理想の勇者様に出逢う為です」
マナリスは即答した。
「は、はぁ……」
レイナには理解出来ない理由だった。
そもそも失敗しないレイナには「リセット」という発想すら無かった。
3/8.「てか今はどうするか決めたいんだけど」
「まぁ私もリセットなんて関係無い話。リセットさせたいって程文明進んでないしリセットさせたところでユウタは帰ってこないし。てか今はどうするか決めたいんだけど」
アンは不貞腐れながら自分にとっては無意味だという事を明かし本題に戻ろうとした。
「そうですね。お金をどうやって稼ぐかを考えましょう」
マナリスも本題に戻ろうとした。
「それならやはり『会社』を立ち上げませんか?」
レイナは起業を提案した。
*レイナの世界には既に「会社」という概念が有る。*
「何それ?また未開人の私に嫌味?」
アンはもはやレイナから嫌味を言われているかの如くだった。
「わたくしも分かりませんのでご教授ください」
マナリスも知らない概念だった。
「嫌味ではありません。分かりやすく言えば『商会』や『クラン』の様なものでお仕事をする組織の事です」
レイナは科学の世界で馴染みの有る言葉と魔法の世界で馴染みの有る言葉の両方に言い換えて説明した。
「あ~!商会ね!分かったわ!」
アンはやっと分かってきた。
「わたくしも分かりました。しかし何をして利益を出しますか?」
マナリスも「会社」の事は分かったがどの様な事業をするのかが見えてこなかった。
「考えられるのは所有している魂のレンタル、販売、売買などでしょうか」
レイナは魂関連で思い付いた事業を挙(あ)げてみた。
「レンタルでいくら稼げるの?」
アンはシンプルにレンタル業の利益の見込みを訊いてみた。
「お客さんが見つかるという前提ですけど勇者の卵1人で10年レンタルで1ゴールドいけたら良い方(ほう)……でしょうか……」
レイナは現実的に推測したが不労所得といえど元を回収するにも長期戦にならざるを得なかった。
「えー。全然駄目じゃん……300万ゴールド稼ぐのに何年掛かるのよ……」
アンはそんな事をしていても目標金額まで稼げるとは思えず絶望してしまった。
「1000年で元本回収。そこから利益が出続ける、という感じですね。ですから10年1ゴールドを100商品で運用したとしても10年で100ゴールド、1000年で1万ゴールドですから、300万ゴールドまでは30万年掛かりますね……」
レイナは冷静に算出しその結果にもちろん自分もどんよりした。
「うえ~ん!ユウタぁ!」
アンは泣き出してしまった。
4/8.「『』さんならどうなさると思いますか?」
しかしそこでマナリスはある事を思い付き――。
「あっ!そうだ!ユウタさんならどうなさると思いますか?」
――アンに訊いてみた。
「あ、なるほど」
理解が早いレイナも名案だと思った。
「ユ、ユウタだったら……?そうね……何(なん)かやってたけど何してたっけ……」
アンは泣き止むと必死に思い出そうとした。
「頑張って思い出してください!」
マナリスは自分達の今後の成功はアンが思い出せるかどうかに掛かっていると思っていた。
「あ、そうそう。苗字を付けるんだって。商会に」
アンはピコーン!と思いだした。
「それはとても大事な事ですね!それではわたくし達の紹介の名前はどの様にしますか?」
マナリスは早速商会の名前を何にするか考えてみた。
「私達には苗字が無いので付けるなら『名前』という事になりますが『アン&マナリス&レイナ商会』はさすがに名前が長過ぎる気がします。『事務所』だったらいけるかもしれませんが」
レイナは具体例を出してみた。
「んー。もっと短く出来ない?」
アンの中で納得はいっていなかった。
「頭文字を取って『AMR商会』はいかがですか?」
レイナは頭文字案を提案した。
「それちょっと短過ぎ。もうちょっと長く出来ない?」
アンはレイナをユウタに見立てて注文してみた。
「それでは……『アンマナレイ商会』とかですか?」
レイナは長過ぎず短過ぎずの紹介名を提案してみた。
「それよ……!私はそれが良い……!」
アンの琴(きん)線に激しく響(ひび)いた。というかしっくりきた。
「わたくしもそれが良いです!」
マナリスも感触が良かったし何よりアンが喜んでいたからそれにしたかった。
「それでは商会名は『アンマナレイ商会』に決定です」
レイナがそう言うとパチパチパチと拍手が起こった。
5/8.「で、何して稼ぐ?」
「で、何して稼ぐ?」
アンは大事な本題に戻った。
「ユウタさんだったらどうなさると思いますか?」
マナリスはこれについても絶対的信頼を置いている勇者の考えを訊いた。
「ユウタだったら……全部するって言いそう」
アンは何でもやろうとしていた完璧主義なユウタの言動を思い出した。
「わたくしも出来る事なら何でもしたら宜しいと思います」
マナリスはもし自分がアベルの女神だったらアベルがしたい事を何でもさせてあげたいと考えておりその発想からアンが言った事をぜひしてみたら良いと思った。
「でも何でもって……」
レイナは専門分野に特化した方が良いと考えていた。
「あとユウタが造った国では最初にやってたのは物作りよ。食料から馬車から鍛冶から何でもやってたわ」
アンはどんどん思い出してきた。
「しかし神々が愛用する様な物をわたくし達に作れるでしょうか?」
マナリスは自分達には神級の魔道具などを作れるとは到底思えなかった。
「私は設計や開発に心得が有りますがそれは地上での話で神々の世界で売れる商品となると作れる自信が無いです」
レイナも物作り案はお手上げだった。
「あの、アン。物作りが充実した後は何をなさっていましたか?」
マナリスはもはやアベルの軌跡(きせき)についてをインタビューする様なつもりで訊いていた。
「あー。えーっと。商品を売るお店作り、行商人と交渉、とか」
アンはほとんど子供達と遊んだり散歩したりしていたのだが何をしていたのかと訊かれた時の為にちゃんと言い訳を考えていてその為ある程度政府がしていた事は把握していた。
「その後は?」
マナリスは続けて訊いた。
「その後って……遊ぶ場所とか作ってた様な……」
アンはなんとか思い出した。
「遊ぶ場所、つまり娯楽でしょうか」
マナリスも自分なりに考えてみた。
「それそれ!」
アンはマナリスがちゃんと言語化してくれて感謝した。
「要するに私達には一次産業は無理ですから二次産業や三次産業で頑張ってみるしかないという事でしょうかね」
レイナは産業構造で紐(ひも)解(と)いて考えてみた。
「え、な、何だって……?」
アンには全く付いていけなかった。
「馬車で言えば一次産業が木こり、二次産業が馬車職人、三次産業が馬車のレースです」
レイナは具体例を挙げて分かりやすく説明した。
「なるほど!そういう事ね!」
アンはスッキリした程に分かった。
「レイナさん流石です!」
マナリスもレイナに感心した。
「それ程でもないです」
レイナは謙遜(けんそん)しつつも褒められたのが嬉しくて照(て)れた。
6/8.「『』とかそういうのがやりたい!」
「私思ったんだけどその馬車のレースとかそういうのがやりたい!」
アンは楽しい事が好きな為三次産業に興味を持った。
「興行といった三次産業がしたいって事ですか?」
レイナはさすがに神々に対して馬車のレースが興行として成立するとは思えないが三次産業がしたいという意味なのだろうと汲(く)み取った。
「そう!」
アンにはもうそれ以外の仕事が考えられなかった。
「しかし興行といっても他にどの様なものが有るのでしょうか」
マナリスは興行に詳しくなく具体的に思い付かなかった。
「なんかね、ユウタは戦士と戦士が戦う企画をよくやってたわよ。木剣(ぼくけん)だったけど実際みんなに人気だったし」
アンは催し物を思い出した。
「あ、もしかして闘技大会の事ですか?」
マナリスは闘技の事を知っていた。
「もしかしたらそうかも。戦士が戦うのを観客達がワイワイ観てる感じのやつ」
アンはマナリスも知ってるかもしれないと思った。
「はい。存じ上げています。著名な騎士や冒険者が出場すると盛り上がるのですよね。わたくしも勇者がいないものかとよく天使達を連れてお忍(しの)びで観に行ったものです」
マナリスも闘技大会は好きだった。
「それを神々が楽しめる様にするならやはり勇者や魔王、魔神が出場する闘技大会でしょうかね」
レイナも闘技大会案でブラッシュアップしてみた。
「それ良いかも!あと賭けられる様にすると良いわね!」
アンが知っている闘技場でも賭け事が行われていたのを覚えていた。
*ちなみにアンはかつて出場すると言っていた傭兵の天使2号の傭兵としての二つ名が分からず別人に賭けてしまい当然の事ながら2号が優勝しお小遣いを全て失っていた過去が有る。*
「わたくしも闘技大会には賛成です!しかし賭け事については上限を設けていただけると助かります」
マナリスは闘技大会案には賛成だったがあの浮浪者の様にギャンブルで全財産を失うという様な悲劇は避けたかった。
「そうですね。賭け金に上限を設けましょう」
レイナも上限案には賛成だった。
「あ、そもそもだけどどこでやるの?」
アンは大事な事に気付いた。
「私は暗黒街で考えてましたが考えてみればわざわざ暗黒街で商売をする必要は無いんですよね」
レイナも大事な事に気付いた。
「いや、商会の場所もそうだけど闘技大会の場所も決まってないじゃん」
アンはどっちの場所も決まってない事に気付かされた。
「わたくしは暗黒街の方がお仕事しやすいかもしれません。なぜなら魂を売るにしても普通の都市だと認定証を取ったりしなければいけませんし匿名も不可能ですからね」
マナリスは普通に商売すると売るにしても貸すにしてもプロの鑑定士に診てもらったりなどという手間が発生するし何より匿名で出来ないのは痛手(いたで)だと感じていた。
「そうですね。おそらく商売をするなら暗黒街の方が良いです。興行もしやすいですし。あと闘技大会を開く場所は場所代さえ払えば用意してくださる方がいるでしょうから心配は無いですね」
レイナは暗黒街で事務所を開き場所は借りたら良いと思っていた。
「じゃあそれでいくわよ!おー!」
アンはやる気がみなぎってきた。
かくしてアン達は事業の方針が決まった。
7/8.「こちらの『』はいかがでしょうか?」
そしてアン達は暗黒街の不動産屋を訪れ商会を開くのに相応しい事務所を紹介してもらう事にした。
「こちらの物件はいかがでしょうか?興行ギルドから徒歩5分。25坪で10人まで利用しやすい物件となっております」
不動産屋の女性が最適そうな不動産を案内した。
「良いわね!でも10人って多くない?」
アンは人数が多過ぎるのではないかと思った。
「それがですねスタッフ達を自身の天使から登用する場合が有り事務所の代表者が神3名でもそれぞれから天使が3名連れてこられた場合天使が9名、神と天使合わせて12名というケースが多いんです」
不動産屋は天使といったスタッフを含めての人数である事を説明した。
「なるほど!」
アンは天使達に手伝わせるという発想が無かったのだが不動産屋からの説明で納得した。
「確かに天使に手伝ってもらっても宜しいのですものね」
マナリスもその発想が無かったのだがなんか背負(せお)っていたものが軽くなった様な気がした。
「はい。それがオススメです。それではこの物件でご契約なさりますか?」
不動産屋は契約締結に動いた。
「はい。とりあえず賃貸で敷金礼金も私が払います」
レイナは支払いを買って出た。
「承知しました。しかし支払いは来月からで結構です。それではご契約の内容をご説明いたしますがサービスとして本日たった今からお試しでご利用になれますが月をまたぐと本契約となり来月の最終日いっぱいまでに1か月分の賃料及び敷金並びに礼金をお支払いいただきます。賃料は1月(ひとつき)5000ゴールド、敷(しき)金礼金もそれぞれ1か月分となっております。また本契約後の賃料は5000ゴールド、敷金と礼金も来月分のみでそれぞれ5000ゴールドのお支払いをお願いします」
不動産屋は契約内容を説明した。
「お試しで使えるなんてラッキーね!」
アンは初月(しょげつ)だけタダで使える事に歓喜(かんき)した。
「まぁ不動産屋としても私達が定着してくれた方が賃料が取れて嬉しいですもんね?」
レイナは不動産屋の痛いところを突いた。
「は、はい……よくご存じで……」
不動産屋は苦笑いした。
*暗黒街での商売は大変であり長く続かない者も多く不動産屋としても最初に色々とお金が掛かる事業者の事情を汲(く)み取り初月だけは無料というサービスを実施していた。*
「だったら一日(いっぴ)からやってたら良かったわね!」
アンはどうせタダなのなら最大限に利用したかった。
かくしてアン達は商会の事務所を確保した。
8/8.「みんな。これを見て」
そしてレイナは――。
「みんな。これを見て」
――ストレージから大量のゴールドを出した。
「な、なんじゃこりゃあ!」
アンは大金に目が飛び出る程驚いた。
「も、物凄い大金ですね……」
マナリスもその初めて見る大金に驚いた。
「全部で2000ゴールド有ります。まだ使わないレアメタルを全部売って工面しました。商会の軍資金として使ってください」
レイナはリチウムやネオジム、パラジウム、テルル、タングステンといった未来文明には欠かせないレアメタルを全て売って工面した2000ゴールドを商会の軍資金として使ってほしかった。
「レイナさん……」
マナリスはレイナの献身(けんしん)に胸を打たれた。
「ありがとうレイナ。あと私達もう友達だし敬語やめない?」
アンもさすがにレイナを友達と認めざるを得なかった。というかここまでさせてるのに友達として認めないのは自分の正義感が許さなかった。
「い、良いんですか……?」
レイナはアンに確認しようとした。
「もちろんだよレイナ!」
アンはそもそももうとっくにレイナを友達として認めていた。
「あ、ありがとう……」
レイナは心底嬉しくて泣いた。
「わたくしにも敬語は使わないでくださいね」
マナリスもレイナには敬語を使ってほしくなかった。
「マ、マナリス……。でもマナリスは敬語なのでは?」
レイナはマナリスにも敬語を使ってほしくなかった。
「はい。わたくしは敬語です。アンにも名前以外は今まで敬語でしたし。レイナにも敬語を使わさせてください」
マナリスは名前は例外としても基本的には敬語を使いたかった。
「わ、分かった……」
レイナはマナリスはそういう丁寧な性格だという事はもう分かっているしそれ以上は言わない事にした。
かくしてアン達は本当の意味で打ち解け合いアンマナレイ商会をスタートさせたのだった。
後書き
いやぁ、プラチナを除くレアメタルを全部売っても2000ゴールドにしかならないのは本当に大変な事です。
パラジウム7.1万トンで781兆円=781ゴールド、タングステン320万トンで320兆円=320ゴールドという感じです。
しかしそれにしても科学の世界の場合は石油などが非常に貴重な為そういった資源を売れないのが痛いです。
魔法の世界だったら石油なんて魔導と比べたら使いづらいので売ってゴールドにしやすいのですがね。
ちなみに不動産屋の女性は元レディース(女性の不良集団)の総長だった過去が有ります(笑)