[R18] 優しく俺様系で女が好きな天才新社会人、異世界を救う (JP) – 1章 2節 12話 暗殺の女神 – 憂鬱 (アンリの視点)

前書き

青年男性向け – ソフト – R18

第2節 異世界の女神 (第1章 勇者の村)

第 12 / 28 話

約 4,000 字 – 6 場面 (各平均 約 660 字)

1/6. 私は『』

私は暗殺者をしている女神アンリ。

私は……暗殺を先越されちゃった……。

でも何でだろう……いつも以上に完璧だったのに……。

てかよくあんな状況で……。

アンリにとってティアラから暗殺対象を殺すのは結婚式当日という条件を課されていたものの暗殺対象は凄腕の天使達に守られていた為どのみち警戒が高まるとはいえいつもとは違う行動で油断や隙が生まれやすい大きなイベントで仕留めるという選択肢は有ったしそれは問題ではなかった。

あんな厳重な警備をどうやって突破したの……。

アンリは起こった事というか起こり得た事を信じられずにいたのだが女神の事はチェック済みであり――。

あの馬鹿女神じゃ無理かも。

一瞬で納得出来てしまったのだった。

2/6.「聴こえる?」

そしてアンリは暗殺ギルドのギルマス・オスカルにその事を報告しようと思い――。

「オスカル、聴こえる?」

――オスカルに念話を飛ばした。

「聴こえますよアンリさん。いかがしましたか?」

オスカルはアンリに要件を訊いた。

「暗殺失敗。先を越された」

アンリは単刀直入に報告した。

「それは残念でしたね。私はつい先程ティアラ様から誰が暗殺を成功させたのかとの問い合わせが有りもしや先手を打たれてしまったのかな?と思いました」

オスカルはオスカルで状況を察していた。

「ねぇオスカル、誰の仕業(しわざ)?」

アンリはオスカルに誰の仕業か訊いた。

「それが分かりません。この件の依頼者は超VIPです。そして私はアンリさん、特別に貴方を指名しました。もちろん暗殺の依頼は複数きていましたが各方面にも圧力を掛けこの件が成功するよう時間を稼いでいました。ですから私はプロの犯行とは思えません。むしろ素人(しろうと)の犯行だと思います」

オスカルは冷静に分析内容を話した。

「そう……とりあえず撤収する……」

アンリは撤収しようとした。

「ですが引退する必要が無くなって良かったですね」

オスカルはアンリのティアラとカトラスへの要求からして引退しようとしているのではないかと見抜いていた。

「うん……ギルマスは何でもお見通しなんだね」

アンリはオスカルには隠し事は出来ないなと改めて思った。

「ま、私はギルマスですから。それでは失礼」

オスカルはそう言うと念話を切った。

3/6.「何がどうなってる……」

オスカルはそう言うと念話を切った。

そしてしばらくすると――

「ねぇ、アンリ。聴こえる?」

――アンリから念話が掛かってきて――。

「うん。待ってるね」

――ソニアからそう言われたところでお互いに念話を切った。

何がどうなってる……。

アンリはあまりの展開の早さ、見えなさに付いていけなかった。

というのもアンリはこの稼業をしていてその経験も長く暗殺は陰謀が付き物な為慣れっこではあるのだが依頼主はあの世界神のティアラとカトラスである為次元が高過ぎたのだ。

実際情報がどこから漏(も)れたのか分からないしどんな策略が有るのか分からないが速報が早かったりと次元が違った。

ママにも約束したのに……。

アンリは師匠パトリシアへの申し訳無さでいっぱいになってしまった。

4/6.「ただいま」

そしてこれはアンリが依頼を受けた後の事。

「ママ、ただいま」

アンリは帰宅すると眠りに就いているパトリシアに声を掛けた。

もちろん眠りに就いているパトリシアから返事は無かった。

「今度の仕事は凄いよ。依頼主が世界神のティアラ様とカトラス様」

アンリがそう言うと眠りに就いているパトリシアの顔と体が少し動いた気がした。

「ねぇ、ママは『アベル』って人に会いたい?」

そしてアンリはいつもの様に問い掛けた。

「でもそんな人いない……実在しない……」

アンリはアンリで「アベル」という名の人物を探し師匠が狙っていた「勇者アベル」の事なのではないかと突き止めてはいたのだが消息(しょうそく)を掴めずにいて既に諦めモードに入ってしまっていた。

「でも今回の報酬で2つも銀河を貰えるんだって。だからママの国はお引越ししたら心配無いよね」

アンリは終わりの無い嫌がらせにも疲れ切ってしまっていた。

「でも『アベル』探しは続けるから……心配しないでね……」

アンリはアベル探しに専念したかった。

5/6.「これは私が受ける様な『』じゃない」

その為にもアンリは――。

――これはオスカルから依頼を受けた直後の事。

「ねぇ、オスカル。これは私が受ける様な仕事じゃない。確かにターゲットが女神の天使達に守られているのは分かる。金1億トンも嬉しい。でもなんか違う」

アンリは暗殺者としてのプライドが有りターゲットの護衛は興味が無く魔王といった「強い獲物(えもの)」を求めていた。

「しかし世界神ティアラ様とカトラス様からのパトリシアへの直々(じきじき)の依頼ですよ?」

オスカルにとっても断りやすい相手ではない為アンリには出来る限り依頼を受けてほしかった。

女神アンの勇者暗殺の依頼はティアラだけではなくカトラスもしていた。

* *

そしてもちろん両者は最高の暗殺者として名高い因縁(いんねん)も有るパトリシアへ依頼をしたかった。

* *

ただもちろんティアラもカトラスも牽制し合っている仲の為オスカルはどちらにも報告出来ず特例で無報告ダブルブッキングとしていた。

* *

そして厄介な事にカトラスは成功報酬はやるが前金は払わねぇ!という感じだった為前金はティアラからしか期待出来なかった。

「そもそも2人の世界神様がそんなに欲しい相手なの?」

アンリはその事がそもそも理解出来なかった。

「はい。それにパトリシア様も喜ぶかと」

オスカルはアンリのやる気を出させようとした。

「でも……」

それでもそれはアンリのポリシーに反している為引き受けづらかった。

「それではアンリさんがこの案件を引き受けるにはどれ程の報酬が有れば宜しいですか?」

オスカルはアンリの要求を訊いた。

「……両方の銀河……」

アンリは無謀にもぼそっと銀河を要求した。

「ん~まぁ彼女達は世界神ですから余裕でしょう。その旨伝えますが宜しいですね?」

オスカルはその要求をティアラ達にしても良いかアンリに確認しようとした。

「うん」

アンリは正直要求額が大き過ぎてオスカルやティアラ達に叱(しか)られるかと思ったのだが後日――。

「アンリさん、どちらも成功報酬で銀河を提供するそうです。ただし銀河の前金は無しとの事です」

――オスカルから念話が掛かってくると謝ろうとしていたのだが衝撃の事を告げられて――。

「えー!?」

――アンリはとても驚いてしまった。

かくしてアンリの成功報酬に銀河が2つ加わったのだった。

6/6.「だから『』、手に入らなかった……」

そしてアンリは暗殺失敗後に帰宅すると――。

「ママ……暗殺先を越されちゃった……だから銀河、手に入らなかった……」

――パトリシアにがっくしし泣きながら暗殺失敗の報告をした。

「ママ……起きてよ……ママ……」

アンリは血の繋がりは無いが育ての親である母パトリシアに無性に会いたくて泣いた。

そしてふと――

「私、何か手掛かりが掴めるかも」

――世界神2人が求める程の存在ってもしや……とあの勇者の存在が頭を過(よぎ)ったのだった。

かくしてアンリはあの勇者の行方を探す為にももうしばらく暗殺稼業を続ける事になったのだった。

後書き

ちなみにアベル生存説が流れた事でファンクラブによるアンリやソニアへの嫌がらせがより一層増していく事になります(笑)

まぁ一部の神々以外はパトリシアもハンナも眠りに就いているとは知りませんからね。

またパトリシアが動くのではないかと警戒するという訳です。

そしてちなみにオスカルも嫌がらせを受けています(笑)

が、オスカルは返り討ちにしていっているという感じです。

そしてちなみに暗殺者の実力としてはパトリシア>オスカル>アンリという感じです。

そして話は変わりますがアンリも純粋なので人の感情には少し鈍(にぶ)いところが有るのですが世界神のティアラやカトラスの必死具合やオスカルからの「それにパトリシア様も喜ぶかと」という一言(ひとこと)によりさすがに違和感に気付いたという感じです。